国土交通省は、民間建築工事における建設業の社会保険加入状況を把握するための、初めてのアンケート調査を行う。日本建設業連合会(日建連)、全国建設業協会(全建)、全国中小建設業協会(全中建)が協力し、3団体の会員企業が請け負う現場から約400現場を選定。各現場の施工体制台帳に記載されている下請け企業に所属する作業員の加入状況などを報告してもらい、下請け次数別などで民間建築工事における加入率を把握する。年内にも調査結果を集計し、さらなる社会保険の加入徹底策に反映させる。
国交省は、公共工事を請け負う元請け・下請けを対象とする「公共事業労務費調査」で社会保険の加入状況をチェックしているが、この調査には民間工事のみを請け負う企業と作業員の加入状況は反映されていない。民間建築の現場に携わる企業・作業員の加入率は、労務費調査の結果より低いとみられることから、民間建築の現場に絞り込んで加入状況を把握する。
調査は、建設業団体を通じ、各団体の会員企業が抱える現場単位で実施する。国交省は大臣官房建設流通政策審議官名で、3団体に調査への協力を依頼。日建連は会員企業が請け負う3億円以上の184現場、全建と全中建には、施工体制台帳の作成義務(建築一式は下請け総額4500万円)がある現場から、全建が151現場、全中建が66現場を選定してもらう。
調査対象に選ばれた元請け企業は、国交省から業務を受託した建設業振興基金に施工体制台帳を提出。元請け企業と台帳に記載された下請け企業に12月8日からWEB上で調査に回答してもらう。
各企業はまず、作業員名簿に記載されている作業員の健康保険・年金保険・雇用保険の加入の有無を回答。現在の現場で下請けに対して行った保険加入の確認・指導の状況も答えてもらう。法定福利費を内訳明示した見積書の活用状況、建設業退職金共済制度(建退共)の加入状況についても、合わせて回答を求める。
国交省は、同じ時期に下請け企業単位で加入状況を調査することも検討している。二つの調査結果を踏まえ、さらなる社会保険の加入徹底策を検討する。
提供:建通新聞社