国土交通省は17日、社会資本メンテナンス戦略小委員会で、今後5年間を「インフラ健全性見える化5箇年」と位置付け、すべてのインフラ管理者が点検結果などの共有化・見える化を進める方針を打ち出した。全国的なインフラ情報の集約化を図り、各施設の点検が一巡する最初の5年間で少なくともインフラの健全性を分析できるようにする。国民・地域住民に対し、健全性が著しく低い施設情報をリスト化し、地図上に表示するといった情報公開も進める。
小委員会は、年内にインフラの維持管理・更新に関する情報の共有化と見える化についての提言をまとめる。情報の共有化・見える化を進めることで、国民や地域住民に対し、施設の転用・統廃合、維持管理・更新に必要な費用負担の必要性を訴えたり、地方自治体などのインフラ管理者が他の管理者との維持管理状況の相互比較をできる効果が期待できるという。
情報の共有化・見える化の土台となるのはメンテナンス情報(施設の基本情報、点検結果、健全性評価など)の把握とデータベース化。
ことし7月に道路橋・トンネルの点検・診断が義務付けられ、ほとんどの施設で今後5年で施設の点検が一巡することを受け、今後5年間を「インフラ健全性見える化5箇年」と位置付け、まずメンテナンス情報を施設分野別に集約化する取り組みを重点的に進める。
今後5年で集約する情報は▽施設名▽管理者名▽所在地▽点検実施年度▽健全性の評価―など。健全性が著しく低い施設の情報はリスト化し、地図上への表示や指標化によって、国民・地域住民に対して公表する。自治体が、管理者別の維持管理の進捗(しんちょく)状況や全国平均などを共有できるようにする。
維持管理情報のデータベース化に向けては、標準書式を整備した上で、点検結果などを施設台帳に継続して記録する体制を構築。点検・診断の業務発注時に契約図書に盛り込み、受注業者にデータ入力を義務付け、作業の効率化も図る方針だ。
年内にまとまる提言にはこのほか、国民・地域住民に社会資本の現状や適正利用を訴える「インフラメンテナンス国民会議(仮称)」を設置することや、社会資本の維持管理に貢献した団体など、表彰する大臣表彰制度を創設することなども盛り込まれる見込みだ。
提供:建通新聞社