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2014/11/07

建設トップランナー倶楽部 国交省幹部と意見交換

 建設トップランナー倶楽部(代表幹事・米田雅子慶應義塾大学特任教授)の幹事会は5日、国土交通省内で同省幹部との意見交換会を開いた。意見交換のテーマは、地域建設産業における「担い手の確保・育成」。各企業が地域で進めている人材育成や雇用確保の現状と課題を聞き、吉田光市大臣官房建設流通政策審議官は、「われわれの問題意識と近いところにある」と共感、意見交換の成果を今後の施策に生かしていく意向を示した=写真。
 意見交換会では、国交省が建設産業活性化会議の中間報告や工程表、改正された公共工事品質確保促進法(品確法)などを解説。大臣官房技術調査課の高村裕平建設システム管理企画室長は、現在の公共事業の執行状況について「入札不調に責任を押し付けがちだが、実態として目の前の執行は着実に進んでいる。ただし、中長期な担い手不足は一方で深刻。二つの問題は切り分けて議論すべき」と出席者に理解を求めた。
 幹事会のメンバーは、各地域が抱える担い手確保・育成をめぐる課題を報告。日本建設技術(佐賀県)の原裕社長は「新入社員が一人前になる5〜7年の期間を地域企業は待てるのか。人材育成には、安定した事業費の確保が必要だ」、馬瀬建設(岐阜県)の森本繁司社長は「雇用が一番の地域貢献になる。雇用を増やした企業を評価するシステムを充実させてほしい」と訴えた。
 大高建設(富山県)の大橋聡司社長は、地元のケーブルテレビで建設業の魅力を発信する番組づくりを始めたことを報告し「高校生は建設業に就職したいと思っていても、保護者が反対するケースがある。こうした取り組みで保護者らの認識を変えたい」との思いを語った。深松組(宮城県)の深松努社長は「小中学校の授業で、建設企業が防災の知識を伝える機会をつくることはできないか。広い国土を守る長期的な視点で施策を講じてほしい」と提案した。
 また、中村建設(静岡県)の中村仁志副社長は、現場の週休2日の導入について「日給の技能労働者の中には給与が減ることを心配する声もある」と話すと、田村秀夫大臣官房技術調査課長は「工期の設定と合わせて、発注・施工の平準化と単価の上昇が必要になるだろう」と答えた。
 吉田建流審は「建設業に中長期的な見通しを立てるためには『地域維持型契約方式』の活用を広げるという方法もある。複数年契約や共同受注で先の見通しを付けることにもつながるのではないか」と述べた。山田邦博大臣官房技術審議官は「安定した予算を確保したり、価格・工期を適正に設定することが、皆さんの意見に対する共通した回答となるのではないか」と締めくくった。

提供:建通新聞社