建設業における全国的な教育訓練体系の構築を目指し、建設業団体、国土交通省、厚生労働省、職業訓練校、教育機関などによる「建設産業担い手確保・育成コンソーシアム」が29日、発足した。同日開かれた企画運営会議で決定したアクションプログラム(第1版)では、担い手不足が特に懸念される「野丁場」の技能者に重点を置き、教育訓練体系の構築を急ぐ方向性を提示。企画運営会議の座長を務める建設業振興基金の内田俊一理事長は「建設産業には若者の一生を引き受ける覚悟と決意が求められる。覚悟と決意の証として、しっかりとした教育訓練体系を構築しなくてはならない」と強調した。
コンソーシアムは、教育訓練の中核的な役割を担う富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)と連携し▽地域を挙げた教育訓練体制の構築▽教育訓練を支えるソフトインフラの充実▽教育訓練機関の広域連携ネットワークの整備―を事業の3本柱として、今後5年をめどに活動する。事業費には、富士教育訓練センターの建て替えに合わせて関係機関が拠出した「担い手育成基盤整備基金」ソフト事業分の約5億円を充てる。
14〜15年度の実施計画と位置付けたアクションプログラム(第1版)では、個社の枠組みを超えて各地域で教育訓練体系を構築する「地域連携ネットワーク」に対し、支援措置を講じるとした。総合工事業団体、専門工事業団体、行政機関、職業訓練校などといった複数の機関が行う担い手確保・育成に向けた取り組みを資金面で支援する。年内に5件程度、15年度に10件程度(各ブロック1〜2件程度)を支援する計画だ。
工業高校生や初任者、入職後2〜5年目の若年層に必要な教育プログラムと教材も作成する。年内に設置する「プログラム・教材等ワーキンググループ」で、工業高校生を対象とする実習教育や職業訓練校で使用するプログラム教材をまとめる。15年度以降には、熟練技能者向けのプログラムや教材の作成に着手する。
また、職業訓練を行う講師の発掘・育成にも取り組む。富士教育訓練センターで、講師候補者を養成する仕組みを構築するほか、建設マスターや登録基幹技能者を講師に活用することも検討する。講師の情報を収集して「全国版講師データベース」を構築し、関係者間で共有する。
このほか、富士教育訓練センターを中核として、職業訓練校のネットワーク構築も進める。訓練校が情報を交換したり、相互に協力するために「建設関連職業訓練校等連絡会議(仮称)」を発足させる。年内に開く初会合は「富士サミット」と名付け、富士教育訓練センターに教育訓練校を集める。
コンソーシアムの構成員は次の通り。
▽日本建設業連合会▽全国建設業協会▽全国中小建設業協会▽全国建設業協同組合連合会▽全国建設産業団体連合会▽建設産業専門団体連合会▽全国工業高等学校長協会▽全国専門学校土木教育研究会▽全国専門学校建築教育連絡協議会▽全国建設産業教育訓練協会富士教育訓練センター▽近畿建設技能研修協会三田建設技能研修センター▽厚生労働省▽国土交通省▽建設業振興基金
提供:建通伊新聞社