国土交通省、総務省、財務省の3省は、公共工事の入札契約適正化に向けて「適正な予定価格の設定」「ダンピング対策の強化」「社会保険等未加入業者の排除」などに緊急に取り組むよう、国の省庁と地方自治体などに要請した。9月に改正した入札契約適正化指針の内容を反映した通知を各大臣名で送付した。適正な予定価格の設定に関しては、適正な積算に基づく設計書金額の一部を控除する「歩切り」を行わないことをあらためて要請。近く開始する実態調査で、個別指導の対象となりうるケースを例示し、歩切りを速やかに取り止めるよう求めた。
入札契約適正化法(入契法)に基づく今回の要請は、22日付で国省庁、都道府県、市町村などに通知した。改正入契法や入札契約適正化指針の改正、改正公共工事品質確保促進法(改正品確法)などの趣旨に基づき▽適正な予定価格の設定▽ダンピング対策の強化▽適切な契約変更の実施▽社会保険等未加入業者の排除▽施工体制の把握の徹底―の5項目を「緊急に措置を求めるべき事項」と位置付けた。
このうち、適正な予定価格の設定に関しては、、いわゆる「歩切り」が改正品確法に違反するとして「厳に行わない」よう要請。今後、国交省が実態調査を行う際に、歩切りを行っていることが疑わしいケースとして「追加工事が発生した場合に備えて予算の一部を留保することで変更契約を円滑に行うため、あらかじめ設計書金額に相当程度の一定率を乗じて予定価格とする」と例示。
実態調査を行った結果、こうした行為に及んでいることが明らかになった発注者に対しては、個別の意見聴取や発注者名の公表につなげ、改善を求めると明記した。
また、ダンピング対策の強化に関しては、低入札価格調査制度か最低制限価格制度の活用を徹底することを求めた。入契法に基づいて毎年度行っている実態調査で、両制度を導入していないことが明らかになった発注者には、個別に改善を要請するとした。
社会保険等未加入業者については、国交省の直轄工事で開始した排除措置の内容を列挙。下請け業者を含めて未加入業者を排除することを求めた。
「地域維持型 より包括的に」
3省は11年8月にも入契法に基づく要請を行っており、今回の通知ではその際に盛り込まれた内容については「継続的に措置に努めるべき事項」と位置付けた。この中では、地域維持型契約方式の活用範囲を拡大する方向性を記載。
地域維持事業(災害応急対策、除雪、修繕、パトロールなど)の担い手を安定的に確保する必要がある場合、従来よりも工区・工期を包括的に発注することや、担い手として事業協同組合を認めることを明記した。
提供:建通新聞社