建設経済研究所などは、2015年度の建設投資(名目値)を前年度比3・2%減の45兆9500億円とする見通し(10月時点)をまとめた。7月時点の見通しから700億円の下方修正となる。政府建設投資は、政府内で検討されている補正予算を加味しなかったために11・6%の大幅な減少。住宅着工戸数は、15年10月の消費増税による駆け込み需要が前回増税時と比べ小幅になるとみて、反動減の影響が大きい14年度と比べても微増の2・2%増とした。14年度の建設投資は2・6%減の47兆4700億円と予測している。
15年度の政府建設投資は、各省の2015年度概算要求をベースに例年の査定率などを考慮して推計。15年度当初予算における政府建設投資を1・9%増、東日本大震災特別会計の政府建設投資を5・5%増と見込んだものの、現時点で正式に編成が決まっていない補正予算を試算に加えていないため、総額としては11・6%減の17兆2700億円と予測した。
15年度の住宅着工戸数は2・2%増の90万8000戸を見込んでいる。15年10月に消費税率が10%に引き上げられることを前提に、持家は同年4月以降に駆け込み需要が発生し、8・2%増の29万8000戸と増加することを見込んでいるが、分譲住宅はその影響が限定的とみて、4・5%減の21万7000戸への落ち込みを予想する。貸家は、相続税の節税対策の影響が年度半ばまで継続するとみて、2%増の38万7000戸を見込んでいる。
15年度の民間非住宅建設投資は1・9%増の13兆4300億円とし、緩やかな回復が継続すると予測。事務所は全国的に空室率・賃貸料が改善傾向、工場は製造業における設備の余剰感が解消していることなどを理由に堅調に推移するとみる。
倉庫は小売業におけるネット通販の拡大に伴い、商品の集荷・配送の効率化を図る動きが進んでおり、物流拠点を建設する動きが今後も続くとした。足元の着工床面積の動きが鈍い店舗は勢いが鈍化すると見込んだ。
一方、14年度の建設投資は2・6%減の47兆4700億円と7月時点の予測を下方修正。民間住宅投資は、ことし4月の消費税増税に伴う駆け込み需要の反動で、分譲マンションと持家の着工戸数減が避けられず、10%減の88万8000戸と90万戸を割り込むと予測した。
提供:建通新聞社