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2014/10/22

技能労働者 2025年半減も

 建設経済研究所の推計によると、建設技能労働者の減少が2005〜10年のペースで続いたと仮定すると、2010年に266万人だった技能労働者は15年後の25年に141万人(10年比47%減)まで半減することが分かった。ただ一方、過去3年の技能労働者数が増加傾向にあることを踏まえてプラス補正を行った推計では、15・3%減の226万人まで改善するとの結果も出ている。同研究所は「人材確保・育成を先送りせずに着実に進めることが、建設企業の競争力を確保する上で不可欠」と訴えている。
 今回の推計は、21日に発表した「建設経済レポート」に盛り込まれた。建設経済研究所では、昨年10月に発表した同じレポートで、事務職員なども含めた建設業就業者数の将来推計を行っており、今回は技能労働者数に特化した推計を行った。
 推計の前提となる建設技能労働者数には、10年の国勢調査の結果を採用。国勢調査における05〜10年の建設技能労働者の年齢階層別の変化率を基に推計すると、他産業に比べて55〜64歳の割合が高く、退職者が大量に発生する傾向が顕著に表れ、25年には10年比47%減の141万人まで建設技能労働者は減少する。
 ただ同研究所は、総務省の労働力調査で、東日本大震災を契機に技能労働者数が3年間で2・1%増加していることなどを考慮し、2ケースのプラス補正を実施。 このうち「ケース@」は、労働力調査における技能労働者数(25〜64歳)の伸び率が15年まで継続するとともに、10年の入職率(15〜19歳0・5%、20〜24歳1・7%)が今後も継続するなどと仮定。この推計では、建設技能労働者は15年に東京五輪や復興事業の加速化などの影響で4・5%増となり、20年にはマイナスに転じるものの、25年に15・3%減の226万人、30年に23・7%減の203万人と減少が緩やかに進むことが分かった。
 一方「ケースA」では、10年の入職率が10年間かけて倍増するなどとした楽観的なプラス補正を掛けた。この推計では、15年に5・5%増、20年に7・9%増、25年に0・7%増と増加基調が続くものの、30年には6・1%減の250万人と再び減少に転じる結果が出ている。
 同研究所では、今回の推計について「ケース@・Aの仮定程度では、日本の労働力人口の減少、建設産業の中核を担った高年齢層の大量退職の影響を打ち消すことはできず、中長期的な建設技能労働者数の減少は避けられない」と結論付けた。推計が現実に近づくよう、若年層の入職率回復に向けた実効性の高い施策に加え、技術革新による生産効率の向上で技能労働者不足を補う取り組みも必要だとも指摘している。

提供:建通新聞社