国土交通省は、インフラ点検・診断の資格制度「公共工事に関する調査・設計及び設計等の品質確保に資する技術者資格登録規程案」をまとめ、
21日から意見募集を始めた。登録の対象となる資格は、トンネル、港湾、砂防設備など10施設分野ですでに実績のある民間資格。橋梁は「鋼橋」と「コンクリート橋」に区分を分ける。国交省は提出される意見も踏まえ、登録規程を12月上旬に官報告示した上で、登録を希望する民間資格の公募を始める。学識経験者らによる第3者委員会で適格性を審査し、年明けに第1弾の登録資格を決める。
登録制度は、社会資本整備審議会・交通政策審議会の技術部会が8月にまとめた緊急提言に基づいて創設する。高度経済成長期に整備された社会資本の老朽化対策を講じる上で、点検・診断を担う技術者の技術力を担保できるよう、資格制度の確立を図る。
登録規程案では、登録する資格の対象を▽公園施設(遊具)▽砂防設備▽地すべり防止施設▽急傾斜地崩壊防止施設▽海岸堤防▽橋梁(鋼橋)▽同(コンクリート橋)▽トンネル▽港湾施設▽空港施設―の10施設分野とした。技術部会の緊急提言で示された下水道の「管路施設」と河川の「堤防・河道」は、維持・修繕などに関する技術基準を検討中であることなどを理由に、今回の登録規程には盛り込まない。
さらに、10施設分野で、点検・診断などを発注する際の標準的な発注単位である17業務を定めた上で、各業務における管理技術者・担当技術者に求められる知識・技術を明示。それぞれの技術者別に必要な知識・技術を満たすために確認する試験の要件なども定める。
また、資格の登録要件としてはこれに加え、資格試験が1回以上実施された実績があること、資格試験を継続的に実施すること、試験問題の作成と合格者判定を学識者(大学教授、准教授など)が担っていること、合格者に対する技術の維持向上のための措置(講習会の開催など)など、九つの条件を定め、全ての条件を満たすことを求めている
登録する資格には、5年ごとの更新を求める。登録の要件に適合しない資格試験の運営者に対し、国交省は是正を勧告したり、登録の取り消しなどを行うこともできる。
国交省は初年度の登録手続きを12月から始めるとともに、15年度から業務発注で登録された資格を入札参加要件などに組み込めるよう、直轄工事における資格の活用方法も合わせて検討する。登録申請は毎年度受け付ける見通しで、初年度の登録は10施設分野とするが、15年度に対象とする施設分野の拡充も検討する。
提供:建通新聞社