政府は14日、大規模災害時の放置車両対策を強化するための災害対策基本法改正案を閣議決定した。道路管理者に、所有者の同意がなくても、災害時の道路啓開や緊急車両の通行を妨げる放置車両を移動できる権限を与える。放置車両を移動させる際に車両が破損した場合の損失補償規定も設ける。
現行の災害対策基本法には、大規模地震発生時の深刻な交通まひで車両が通行できなかったり、大雪で車両が放置されていても、道路管理者が車両を移動できる規定はない。このため、地震発生時に緊急車両が通行できなかったり、大雪時の孤立集落が発生するなど、被害の拡大を招くことが懸念されている。
改正法案では、災害発生時に緊急車両の通行を確保するため、道路管理者が道路の区間を指定して、車両の運転者に移動を命令したり、運転者の不在時に車両を移動することができるようにする。道路管理者はホイールローダーなどで車両を移動して極力破損しないようにするが、やむをえず破損した場合に備え、損失補償規定も設ける。
また、道路管理者が車両を移動させる際、民有地を一時的に使用することも認める。
改正法案は開会中の臨時国会での成立後に速やかに公布し、公布と同日の施行する。
提供:建通新聞社