国土交通省は、局地化・集中化・激甚化する災害への新たな対策を検討する「新たなステージに対応した防災・減災のあり方に関する懇談会」を設置し、8日に初会合を開いた。時間雨量50_を越える降雨が頻発し、土砂災害や浸水被害などが立て続けに発生している中で、豪雨、スーパー台風、高潮など災害の激甚化に対応する新たな防災・減災対策の枠組みについて、有識者らに提言してもらう。
太田昭宏国交相は初会合の冒頭で「どういった現象がどの程度の蓋然(がいぜん)性で発生するか、発生した場合にどのような被害が生じるかを想定し、命を守り、社会経済の壊滅的な被害を回避するための枠組みや備えが必要か、検討する」と懇談会を発足させた趣旨を説明した。
国交省のまとめによると、時間雨量50_を越える大雨は、1976〜85年には年間の発生件数が平均174回だったが、直近の10年間では平均241回と約1・4倍に増加している。ここ数年でみても、伊豆大島や広島市で大規模な土砂災害が発生したり、大型台風によるたび重なる浸水被害が生じている。
地震や津波に対しては、東日本大震災などの被害を教訓に、首都直下地震や南海トラフ地震の被害想定や対策が進められているが、水害などへの対応は発生する災害への現象に対応が追い付いていない状況にある。御嶽山の噴火を踏まえ、大規模な噴火への対応をあらためて検討する必要もある。
懇談会のメンバーには、防災、気象、河川などの専門家が名を連ねる。初会合では「災害対策基本法を抜本的に改正し、従来の『ボトムアップ』でなく『トップダウン』の災害対策を考えなくてはならない」(河田惠昭関西大学社会安全研究センター長)、「ハード対策を優先順位を付けて進めることは前提だが、ソフト対策を強化し、住民への理解を浸透させる必要がある」(池谷浩政策研究大学院特任教授)といった意見が挙がった。
福岡捷二中央大学研究開発機構教授は、水害に対する『洪水保険』の創設を提唱。洪水保険は、すでに海外では制度化されている事例もあり「ファイナンスの面から住民が自らの役割を認識することができるのではないか」と提案した。
提供:建通新聞社