全国建設業協会(全建)傘下の都道府県建設業協会と国土交通省が地域単位で意見を交わす「地域懇談会・ブロック会議」が7日、関東甲信越を皮切りにスタートした。同日の関東甲信越地方ブロック会議では、担い手3法(改正品確法・入契法・建設業法)を踏まえた地域建設業の活性化や、自然災害対策の強化などに向けた施策展開を要望。併せて、2014年度補正予算の早期編成や国土整備の計画的・安定的な推進などを盛る決議を採択した。
冒頭のあいさつで関東甲信越地方建設業協会長会の渡邉勇雄会長(栃木県建設業協会会長)=写真=は、担い手3法の成立が「建設業界にとって大きな励み」であり、「将来を見据えた環境の変化に多くの期待を見いだせた」と歓迎。さらに、改正品確法に基づく運用指針の年内策定を捉えて「われわれ建設業は就労者の処遇改善、コンプライアンスの徹底を図り、担い手としての使命をいっそう強く自覚して、その役割を発揮したい」と述べた。
担い手3法を踏まえた地域建設業の活性化は、神奈川県建設業協会が「品確法等の改正主旨の具現化による地域建設業の活性化」と題して要望したもの。
そこでは、技術者・技能者の高齢化や若年入職者の減少、災害対応空白地帯の拡大などを挙げて「業界の努力だけでは解決できない」と窮状を吐露。地域建設業が今後も事業を継続して国土強靭(きょうじん)化や災害対応を担えるように▽公共投資の継続的・安定的拡充、発注時期の平準化▽実勢価格を適正・早期に反映させた予定価格の設定、指名競争入札などによる地元建設業者の安定的な受注▽週休2日制に配慮した工期の設定▽市町村に対する歩切りの撤廃やダンピング対策の強化などの指導徹底―を求めた。
また、自然災害対策の強化に関する要望で群馬県建設業協会は、積雪寒冷地外の前橋でも73aの最大積雪深を記録した2月の豪雪を例示して、除雪機械に対する国の補助を「最大積雪深の実績を基準」にするよう主張。
加えて、会員企業の過半数は現在の除雪体制を「3カ年程度しか維持できない」状況にあり、必要な要員や機械を確保しようにも「災害応急対策業務収入では賄えない」ことから、計画的で着実な社会資本整備を通じた「本業の安定」が必要だと訴えた。
これら以外にも▽今後の各年度の建設投資見通しの明示(山梨県建設業協会)▽低入札調査基準価格の引き上げ(予定価格の95%以上での受注、長野県建設業協会)▽監理技術者の兼任を可能にする法令改正、拘束義務が免除される条件・手続きの明確化(新潟県建設業協会)▽適正利潤の確保と適正工期の設定、キャリアアップシステムの構築などによる若年技術者らの確保・育成(栃木県建設業協会)―を要望した。
関東甲信越ブロック会議で採択した決議の主な内容は次の通り。
▽2015年度当初予算での公共事業予算の増額確保、公共事業を中心とした14年度補正予算の早急な編成
▽安定的かつ高水準の公共事業に裏打ちされた社会資本整備の計画的な推進、機能的かつ広域的な災害対応体制の整備、多様な入札契約方式の導入・活用
▽改正品確法・入契法・建設業法の早期具体化と関係機関への周知徹底
▽受発注者間の片務性に起因する諸課題を解決し、建設企業が持続的に健全な発展を遂げるために必要な枠組みの早期確立
▽若年技術者らが将来を託せるような「国土強靭化基本法」や「国土のグランドデザイン2050」などにのっとった国土整備の計画的かつ安定的な推進
提供:建通新聞社