日本建築士事務所協会連合会(日事連)の大内達史会長は3日、東京都内で開かれた「第38回建築士事務所全国大会」の記者会見で、2015年6月に施行予定の改正建築士法に対し「年内に政省令をまとめた上で、年明けにも改正内容を周知できるよう、広報の手法を検討している」ことを明らかにした。改正法には、国土交通大臣が定める報酬規準に準拠した契約締結の努力義務など、建築主にも一定の責務が課される側面がある。それだけに「施行後の混乱を最小限に抑えるために、一般の国民に対する周知・啓発活動は非常に重要。改正法の中身について、建設業界だけでなく社会からも理解を得る必要がある」と持論を展開した。
改正法の施行によって、延床面積が300平方bを超える建築物の設計を対象に、書面での契約が義務化される。このほか、▽一括再委託の禁止(延床面積300平方b超)▽管理建築士の責務の明確化▽建築士免許証提示の義務化▽建築設備士の役割の明確化―などを規定している。
ことし6月の法案可決・成立後、共同提案した日本建築士会連合会(三井所清典会長)と日本建築家協会(JIA・芦原太郎会長)との間で、数回にわたり協議を実施。契約書のフォームや建築士の証明書の記載の在り方など、細部について調整を進めている。
大内会長は「われわれの念願である『設計・監理業務の適正化』に向け、ようやく大きな一歩を踏み出した。改正法の施行を契機により一層、質の高い設計・工事監理の実施につなげたい」と意気込んだ。
一方、会員増強に対して大内会長は「各単位会での地域目線に立った取り組みが必要不可欠。会員増強に『特効薬』はない。将来を見据えた増強への方策が求められる」と強調。従来の直線的な入会依頼ではなく、「未入会員との交流機会の拡大や青年部会の設置など、アタックの手法に工夫を凝らすべき」との考えを示した。
提供:建通新聞社