国土交通省は、無電柱化のコスト縮減に向けて、総務省、経済産業省、電気・通信事業者と連携した試験施工を実施する。従来手法よりもコスト低減が見込まれる「直接埋設」や「小型ボックス活用埋設」などの施工性を試験施工で検証し、2015年3月に設計要領の改訂案を作成する。
無電柱化は、歩道幅員が広く、電力・通信需要が大きい地域を想定した整備手法(電線共同溝やキャブシステムなど)から徐々にコンパクト化が進んでいるものの、最も整備が進んでいる東京都でも無電柱化された道路は5%(延長ベース)に満たず、1年当たりの整備延長も減少傾向に陥っている。
国交省は、直接埋設や小型ボックス活用埋設など、低コストで電線を地中化できる新工法を積極的に導入し、無電柱化を推進する必要があると判断。有識者らによる「無電柱化低コスト手法技術検討委員会」を26日に立ち上げ、低コスト手法の実用化に向けた試験施工を実施することを決めた。
試験施工は、国交省直轄工事の現場や土木研究所・国土技術政策総合研究所の実験施設を使い▽路面・ケーブルの機能に影響を与えない埋設深さ確認試験▽電力線と通信線の離隔距離確認試験▽直接埋設、小型ボックス活用埋設の施工性確認試験―について、10〜11月の2カ月間で実施する。試験施工の結果は、検討委での検証を経て年内にまとめ、設計要領などの改定案に反映させる。
無電柱化の推進をめぐっては、自民党の無電柱化小委員会が6月に、電力会社に道路の新設・拡幅時における電柱の新設を原則禁止する「無電柱化基本法(仮称)」制定の必要性を訴えた中間報告をまとめている。この中でも、直接埋設や小型ボックス活用埋設の導入でコスト縮減を図る方針が打ち出されている。
提供:建通新聞社