建設業労働災害防止協会(建災防、錢高一善会長)は24日、「創立50周年記念全国建設業労働災害防止大会」を東京国際フォーラム(千代田区)で開催し、主要建設業団体の役員や建設企業でそれぞれ個社の安全衛生をけん引する担当者ら多数が参集した。建災防は、これまで建設業の安全衛生水準の向上と労働災害防止に多大な功績のあった個人や団体などを顕彰。「安全の誓い」を参加者の総意として採択し、豊かな社会づくりへの貢献と建設労働災害撲滅の誓いを新たにした。
開会のあいさつに立った錢高会長は「建災防が設立された1963年の建設労働災害による死亡者数は2405人で全産業の約40%を占めた。あれから半世紀。今日では死亡災害は約7分の1にまで減少、全産業に占める割合も約33%にまで低下してきた」と述べ、会員の理解と協力、厚生労働省、国土交通省をはじめとする行政の支援に謝意を示した。
その上で「東日本大震災が発生した11年以降、休業4日以上の死傷災害が増加し続けている。13年に過去最少となった死亡災害もことしの上半期は対前年同期比約3割の大幅な増加となっており、極めて憂慮すべき状況だ。安全衛生水準の向上が喫緊の課題」との認識を示し、「さらに活発な安全衛生活動を展開していこう」と呼び掛けた。
また、建災防は自らの基本理念としている人間尊重をあらためて訴え、安全衛生管理のさらなる向上を目指し、会員全員が一丸となって▽墜落・転落、建設機械・クレーンなど、倒壊・崩壊の三大災害防止対策の徹底▽安全衛生管理体制の充実及び安全衛生教育の積極的な実施▽リスクアセスメントの確実な実施とコスモスの推進を重点目標とした労働災害防止活動に取り組む―などとした「安全の誓い」を採択した。
大会の2日目となる25日は▽建築・コスモス部会▽土木・コスモス部会▽安全衛生教育部会▽住宅部会―の四つに分けて専門部会を開く。
建設企業や団体などがリスクアセスメントや建設業労働安全衛生マネジメントシステム(コスモス)への取り組みや、効果的な不安全行動防止対策、安全衛生教育について、効果が発現した事例や研究成果を発表。厚生労働省安全衛生部建設安全対策室や同東京労働局、国土交通省関東地方整備局が取り組んでいる労災防止対策の状況と課題についてもそれぞれの担当者が解説し、安全衛生の推進に向けて問題意識と最新情報の共有を図ることにしている。
提供:建通新聞社