国土交通省は、建設業の技術者制度見直しについて審議する「適正な施工確保のための技術者制度検討会」の初会合を19日に開いた。適正な施工の確保、将来の担い手確保、効率的な技術者の活用を論点に、技術者制度の各要件を1年程度かけて議論し、必要な制度見直しにつなげる。監理技術者と主任技術者の職務の明確化、配置要件、専任の金額要件、資格要件(実務経験など)に加え、監理・主任技術者になるための技術検定試験の受験資格など、制度全体を総点検する方針だ。
建設業法では、現場の適正施工の確保、施工計画の作成、工程・品質管理を担うため、下請け合計金額3000万円以上(建築一式は4500万円以上)で監理技術者、3000万円未満(同4500万円未満)で主任技術者の配置を義務付けている。請負金額2500万円以上(建築一式5000万円以上)の工事では技術者の専任も求めている。
建設業の技術者をめぐっては、高齢化の進展や若年層の減少などについての懸念に加え、技術者制度に対して「従来、元請け業務であった監理的業務を下請けが担っている」「新工法の開発などで制度の一部が生産性を阻害している」「職務内容、位置付けが不明確」などといった課題が指摘されている。技術者の資格要件として、技術検定などの国家資格とともに求められる実務経験年数が厳しいとの指摘もある。
検討会では、こうした技術者制度の課題について、現場実態を踏まえて技術者の配置要件や技術者専任の金額要件などの総点検を行う。技術者に求められる技術者と建設企業との直接的・恒常的な雇用関係(公共工事の元請けは3カ月以上)についても課題を整理する。
技術者になるための技術検定試験の受験資格も、検討会で議論するテーマとし、若年技術者の現場経験評価の在り方などを論点に、技術検定試験の受験しやすい環境整備について議論する。
提供:建通新聞社