国土交通省は18日、国土審議会を開き、2008年度から10年程度の国土づくりの方向性を示した国土形成計画(全国計画)の改定作業に着手した。改定により、急激な人口減少と少子高齢化、東日本大震災の発生、インフラの老朽化などといった国土を取り巻く社会情勢の変化に対応する。国交省が7月にまとめた「国土のグランドデザイン2050」で示された『コンパクト+ネットワーク』などの理念も反映させる。国土審は年内に中間報告、来夏に最終報告をまとめる。
2008年7月に閣議決定された国土形成計画は、開発による「量的拡大」基調から「成熟社会型」への転換を打ち出した。国主導から2層の計画体系を構築する方針を打ち出し、国・地方・経済団体などでつくる協議会による広域地方計画も合わせて策定された。
18日の国土審の冒頭、太田昭宏国交相は「この10年は、日本の命運を決する10年になる。東京五輪までの5年間に続く『ポスト五輪』の5年間に備え、国土づくりの方向性を示さなくてはならない」と発言。急激な人口減少、首都直下地震・南海トラフ地震への備え、ゲリラ豪雨の頻発などに対応するため、早急に計画を改定する必要があるとして、前倒しで計画を改定する必要性を強調した。
計画改定のベースとなるのは、7月に国交省がまとめた「国土のグランドデザイン2050」。人口減少下におけるサービス水準の低下を防ぐため、コンパクト化した都市をネットワークで結び、都市機能に応じた圏域人口を確保する『コンパクト+ネットワーク』の理念を国土形成計画にも落とし込む。6月に閣議決定した国土強靭化基本計画、政府全体で検討を始めた地方創生などの動きなども反映させる。
国土審では、計画部会を設け、国土形成計画の改定について年内まで議論する。年明けからは、国土利用の数値目標などを定めた「国土利用計画」の改定も含めて議論を継続し、15年夏に最終報告をまとめる。
提供:建通新聞社