国土交通省は16日に開いた「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」に、改正公共工事品質確保促進法(改正品確法)に基づく運用指針の策定に当たり、地方自治体から寄せられた意見を報告した。この中では、運用指針を発注者の共通ルールとして「強制」するのではなく「柔軟」に運用することや、義務事項と努力義務の明確化を求める意見が寄せられたほか、発注者の判断で「予定価格の事前公表も選択できるようにしてほしい」といった声も挙がった。国交省は、自治体意見を年内にまとめる運用指針に反映するほか、発注者支援の在り方を検討するため、全自治体を対象とするアンケート調査を実施する。
改正品確法に位置付けられた運用指針は、国が自治体、事業者などの意見を踏まえ、年内に改正品確法の趣旨に沿った形で発注関係事務を実施するための発注者の共通ルールとしてまとめる。国交省は7月に運用指針の「骨子イメージ案」をまとめ、自治体や建設業団体などから意見を提出することを求めていた。
8月末までに提出された意見は自治体247団体(都道府県45団体、政令市16団体、市区町村186団体)から1042件あった。このうち、運用指針の位置付けについて、回答した都道府県・政令市の5割、市区町村の7割から、各発注者の実情を踏まえて柔軟に運用するといった、強制力を排除する趣旨の声が挙がったという。
発注関係事務の段階別に整理された主な意見としては「歩切りの定義を明確にしてほしい」(工事発注準備段階)、「低入札価格調査基準などの設定は全工事を対象としないでほしい」(入札契約段階)、「三者会議や設計変更審査会は必要に応じて設置・活用すればいいのではないか」(施工段階)などといったもの。
発注体制の支援に関して「支援方法などを具体的に明示してほしい」との意見が多くの自治体から挙がったこと、道路(橋梁、トンネル)の点検・診断の義務化など各自治体の業務負担が増加していることを踏まえ、国交省は16日の懇談会会合から、発注者支援の在り方に関する議論を本格的に開始した。
10月以降に▽発注関係事務に関する体制・技術力▽発注関係事務の実施状況▽発注関係事務に関する要望―などを把握する自治体アンケート調査を実施し、ニーズや課題を把握した上で支援策の全容を固める。各地方整備局単位でつくる発注者協議会を通じて支援策を講じ、改正品確法や同法の運用指針に基づく発注関係事務が適正に運用される体制を構築する。
提供:建通新聞社