自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」の公共工事契約適正化委員会が12日に開かれ、国土交通省が公共工事品質確保促進法(品確法)の基本方針改正案などを報告した。国交省の毛利信二土地・建設産業局長はこの中で、人手不足の中、公共事業の増加が民間工事の進捗(しんちょく)に悪影響を与える可能性があるとの指摘に対し「土木、建築で施工業者にはすみ分けがある。土木中心の公共事業に人がとられ、建築中心の民間工事が遅れるという事態は考えにくい」と主張した。入札不調の発生については「再発注時のロットの大型化などでほぼ契約に至っている」と強調した。
国交省のまとめによると、2013年度の入札不調の発生率は、都道府県工事で前年度比2・7ポイント増の7・6%、直轄工事で6・2ポイント増の17・4%にそれぞれ増加した。14年度第1四半期の発生率は、都道府県で前年同期比1・2ポイント増の4・3%、直轄工事で0・7ポイント減の9・3%となった。
毛利局
長は「入札不調は小規模な維持修繕工事など条件の悪い工事を中心に発生している」と述べるとともに、ロットの大型化などの対策を講じ、最終的に契約に至っていると説明した。
人手不足や資材価格の高騰で、公共事業費の増加が民間工事の進捗に悪影響を与えるとの指摘には「土木・建築の施工業者に一定のすみ分けがある」ことを理由に否定。公共工事の元請け業者の8割が、土木と建築のいずれかを専業としていることに加え、専門工事業も建築・土木で異なるなどと説明した。
12日の委員会で同省は、9月末に閣議決定する品確法の基本方針改正案と入札契約適正化指針の改正案、年内を目指している改正品確法に関する発注関係事務の運用指針の作成状況について報告。運用指針には、地方自治体247団体、建設業団体138団体から合計2382件の意見が提出されているという。
出席した議員からは、この運用指針について、「『歩切り』を手柄だと考える市町村長もいる。品確法違反だということを周知しなくてはならない」「多様な入札契約方式の導入に後ろ向きになる発注者もいる。運用指針に発注者の意見を反映させるだけではなく、考え方を変えてもらうことも意識すべき」「ビルメンテナンスについても適正価格が維持される形で運用してもらいたい」などといった意見が挙がった。
提供:建通新聞社