国土交通省は、宅建業法改正を受けて設置した「宅地建物取引士に係る法定講習充実検討委員会」の報告書をまとめた。宅地建物取引士の更新講習に、コンプライアンスとリスク管理についての新たな講習科目を追加し、これに伴い、講習時間を1時間延長する。受講料についても。現行の限度額を1万1000円から1000円引き上げる。
6月に成立した改正宅建業法(議員立法)は、宅地建物主任者の名称を「宅地建物取引士」に変更したほか、業務処理の原則、信用失墜行為の禁止、知識・能力の維持向上など、宅地建物取引士の適正な業務を確保するための新たな規定も創設された。
法改正の趣旨を踏まえ、5年に1度の受講が義務付けられている更新講習の内容を充実させる。検討委の報告書では、宅地建物取引の中核的役割を担う宅地建物取引士には「常にコンプライアンスとリスク管理の重要性を認識した業務執行と高度化・多様化する消費者ニーズに対応した実践的な知識・能力の習得が求められる」と指摘。
現行の法定講習実施要領に「宅地建物取引業の社会的責任」「トラブルの未然防止やクレーム処理」「コンプライアンスの定義・全体像」などの項目を盛り込んだ「宅地建物取引士の使命と役割に関する事項」を新たな講習科目として追加するよう求めた。
また、報告書では講義手法の改善も要求。実践的な知識を習得する観点から、自己採点やケーススタディーなどを求める受講者参加型の講義手法への変更を促した。
講習科目の追加に伴い、講習時間は現在の5時間から6時間に延長する。また、受講料の限度額も1万1000円から1万2000円に引き上げる。
提供:建通新聞社