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2014/09/12

災害メカニズムの解明に努める ※<土木学会全国大会in大阪 水害・土砂災害緊急調査報告会「災害メカニズムの解明に努める」>

 土木学会(磯部雅彦会長)は、2014年度全国大会を10〜12日に大阪府内で開催、「百年の計、変わらぬ使命感と進化する土木」を大会テーマに、創立100周年記念討論会や年次学術講演会、映画会などが開かれている。初日に行われた「14年豪雨による水害・土砂災害緊急調査報告会」では、8月に発生した四国の水害、兵庫・京都・岐阜の水害と土砂災害、広島の土砂災害について、災害の特徴や今後の対策が報告された。
 冒頭、磯部会長は「わが国では毎年のように歴史に残る災害を受けている。8月に発生した水害や土砂災害については、土木学会としても調査団を派遣し、災害メカニズムの解明に努めている。次の100年に向け、災害が最小化できるよう、学会らしい活動を展開していきたい」と述べた。
 京都府福知山市での水害・土砂災害の報告で、竹林洋史氏(京都大学防災研究所)は橋梁に引っ掛かった流木の写真を示しながら、「建設時期の古い橋は、橋脚による河道の閉塞(へいそく)を招く。橋脚の少ない橋への改修を急ぐべき」と強調。一方で、利水施設であるため池が大きな治水効果を発揮したことから、「治水効果が高いため池については、利用・整備に向け集中投資する」ことを提案した。
 四国水害調査団長を務める中野晋氏(徳島大学)は、台風11号、12号による徳島県内の被害の特徴を説明。那賀川をはじめ複数の河川で観測開始以来の最高水位を記録しており、「排水不良による内水被害が頻発した。内水被害に対するリスクコミュニケーションが不足している」ことを課題に挙げた。
 広島豪雨土砂災害については土田孝氏(広島大学)らが調査速報を伝えた。最も被害が甚大だった八木地区では、土石流が、住宅地から約100b上流にある治山堰堤(えんてい)を乗り越えて流下。「10年の庄原災害と同じく避難勧告・指示が間に合っていない」ため、避難勧告・指示の判断過程の検証、行政のソフト対策の在り方の検討を進めるとした。

提供:建通新聞社