公共工事の発注者に入札契約の適正化に関する努力義務を課す入札契約適正化指針の改正案がまとまった。改正公共工事品質確保促進法(改正品確法)で、予定価格の適正な設定が発注者の責務に位置付けられたことから、いわゆる「歩切り」が品確法に違反することを指針に明記。適切な契約変更を実施することも求め、受注者に責任がないケースで、追加工事などの費用を受注者に負担させることが、建設業法違反に該当する恐れがあると記載した。
入札契約適正化法に基づく適正化指針は、国土交通省・総務省・財務省が改正案を作成し、10日に開かれた中央建設業審議会総会に報告した。早ければ9月末の閣議決定を目指している。
歩切りは、現行の適正化指針でも禁止を求めているが、改正品確法(第7条第1項第1号)で、予定価格を適正に設定することが発注者の責務に位置付けられたことを根拠に、同法違反
に当たると表現を強めた。
国交省と総務省は、指針の閣議決定を待ち、各自治体に対する調査の実施、疑わしい自治体に対する個別指導、改善しない自治体の公表を行う。
適切な契約変更も各発注者に求める。追加・変更工事が発生した際、書面による変更契約を結ばなかったり、受注者に責任のない追加工事の費用を一方的に負担させることが、建設業法違反(19条第2項、19条の3)に当たる恐れがあると記載。契約変更で工事内容を変更する際は、工事費用に加えて、適正な工期を確保することも求めた。
入札契約適正化法の改正で入札契約適正化の柱に位置付けた「ダンピング防止」では、低入札価格調査制度や最低制限価格制度の活用を徹底するよう求めた。この規定を根拠に制度を導入していない自治体に個別の改善要請を行う。
改正案にはこのほか、談合防止策の強化を図るため、職員への不当な働き掛けが発生しにくい入札契約制度を導入すると記載。国交省の直轄工事で導入された技術提案書と入札書の同時提出などを参考に、入札書の提出後に予定価格を作成するよう求めた。
公平・健全な競争環境を構築する観点で、社会保険に加入し、法定福利費を負担する建設業者を契約の相手先とすることを推奨。未加入企業を公共工事の元請けから排除するため、定期の競争参加資格審査や個別工事の競争参加資格の設定などの措置を講じるよう求めた。
提供:建通新聞社