国土交通省は8日「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の整備等のあり方に関する検討会」の初会合を開き、サ高住の質の向上と適正立地に向けた議論を始めた。制度開始から約3年弱で登録戸数が15万戸を超えたサ高住について、地域遍在や質の低下といった課題を整理し、補助制度の見直しなどの誘導策を検討する。2015年度末に中間報告をまとめる。
初会合の冒頭で、橋本公博住宅局長は「サ高住は民間による高齢者住宅の大量供給という制度創設時の目標を達成しつつある一方で、郊外への立地が増えたり、質の低い住宅もあるといった指摘もある」との課題を示し、課題の解消策を検討するとともに「市町村の福祉行政と連携も議論する必要がある」と述べた。
高齢者住まい法の改正で11年10月に創設されたサ高住は、ことし8月末までの2年10カ月で4871棟、15万6650戸が整備された。供給戸数が右肩上がりで伸びる一方、民間供給ベースに委ねられたため、市町村の介護政策やまちづくり政策とは連動せず、地下の安い郊外部に立地が集中する傾向がみられるという。
また、運営主体によって、入居者に提供するサービスにばらつきが生じているとの指摘もある。
国交省は、サ高住の立地状況、入居者の実態、要介護度が高くなった場合の対応方針などについて、アンケート形式の実態調査を年内をめどに実施。調査結果を踏まえ、検討会で立地の適正化や質の向上を図るための誘導策をまとめる。
14年度末にまとめる中間報告を踏まえ、サ高住の建設費などに対する補助金「スマートウェルネス住宅等推進事業」を見直すことを視野に入れている。補助制度などの見直しにより、同省が進めている都市の中心部に生活機能を集約させるコンパクトシティ化の動きとも連動し、サ高住の立地適正化を促す。
提供:建通新聞社