全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)は、改正品確法の「発注関係事務の運用指針(骨子イメージ案)」に対する意見をまとめ、5日付で国土交通省に提出した。適正な利潤の確保と担い手確保・育成の観点から、全般的な要望事項として▽運用指針を踏まえたガイドラインの作成▽民間発注者への指導▽適切な予定価格の設定、契約変更―などを列挙。骨子イメージ案の内容に沿って、技術提案方式を災害復旧や維持・修繕工事にも適用したり、工事成績評定に関わる第三者委員会の設置を検討することなどを求めている。
国交省は2014年内の運用指針の取りまとめに向け、各発注者が中長期的な担い手の育成・確保に留意し、公共工事の各段階で実施する発注関係事務などを「骨子イメージ案」として整理。7月から各地で自治体や建設業団体向けの説明会を開いた上で、意見提出を依頼していた。
全建の意見のうち全般的な要望事項を見ると、担い手を確保・育成するためには「国土保全ビジョンの策定」や「計画的な公共事業予算の確保・拡大」が必要とし、運用指針後の各発注者の実施状況などに対する「国によるフォローアップの実施」なども主張。
その上で、運用指針のみでは「発注関係事務の執行に不十分な部分も考えられる」として、各発注者が遺漏なく対応できるようにするため、細部の内容を別途例示するなどした「ガイドラインを作成」するよう求めた。
民間発注者への指導は、高速道路会社やUR都市機構、JR、NTT、電気・ガス事業者にも、公共工事発注者と同様に運用指針を順守してもらうことが狙い。適正な予定価格の設定や契約変更では▽労務単価のさらなる引き上げ▽積算体系の見直し▽ダンピング対策▽復興係数のような歩掛かりに対する柔軟な補正▽見積活用方式の拡大▽工期延長に伴う経費の増額、スライド条項の適切な運用―を唱えている。
一方、骨子イメージ案に沿った意見の中で、災害復旧や維持・管理工事への「技術提案方式」の適用は、仕様書や予定価格の確定が困難なことが理由。多様な入札方式の選択を広げるため、一括審査方式や指名競争入札の導入拡大を運用指針に明記したり、施工体制確認型総合評価方式の採用を自治体に指導するよう要望した。
工事成績評定に関する第三者機関は、発注者・担当者ごとの評価のばらつきを防いで客観的なものにするため設置を検討するよう求めている。
提供:建通新聞社