環境省は、巨大災害の発生に備え、全国単位、地域ブロック単位の両方で巨大災害発生時の廃棄物処理体制の構築を進める。2015年度予算概算要求では4億8900万円の事業費を要求。膨大な量に上ると予想される災害廃棄物の円滑な処理を可能とするため、廃棄物処理法などをはじめとする関係法令の改正を視野に入れた検討を行う。
15年度は、本年度に策定する「巨大災害発生時における災害廃棄物対策行動指針」を踏まえ、▽仮置き場の確保▽仮設処理施設や最終処分場の整備▽広域連携▽復旧・復興過程での再生資源の利活用―などについて地方公共団体と民間事業者(団体)らが協議する場を設け、全国単位、地域ブロック単位ごとに実効性の高い行動計画を策定する。
その一方で、東日本大震災など過去の大震災・大規模災害から得た教訓や知見、ノウハウなどをアーカイブ化して情報共有を図るとともに、地方公共団体の職員向けの教育プログラム作成についても検討する。
環境省は13年度に「巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会(委員長、酒井伸一・京都大学環境安全保健機構附属環境科学センター長)」を設置し、14年3月には、災害発生時の円滑な廃棄物対策を可能にするための具体的な課題と、今後の取り組みの方向を示した「巨大災害発生時における災害廃棄物対策のグランドデザイン」を策定。
この中で、同委員会は南海トラフ巨大地震と首都直下地震が発生した場合の災害廃棄物と津波堆積物の量を推計し、南海トラフ巨大地震は、最大で東日本大震災の約16倍に当たる約3億2000万dの災害廃棄物、約3倍に当たる約3000万dの津波堆積物が発生すると予測。首都直下地震でも最大で約5倍強に当たる約1億1000万dの災害廃棄物が発生すると予測していた。
提供:建通新聞社