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2014/09/05

サ高住の適正立地誘導へ

 国土交通省は、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の質の向上と適正立地に向けた制度見直しを検討する有識者会議を立ち上げる。サ高住は、制度開始から3年弱で登録戸数が15万戸を超えるなど急速に供給戸数が増加している一方、郊外に立地が集中する偏在化が進んでいるとの指摘があり、一部の市区町村の介護給付費の負担増を招いたり、都市のコンパクト化の阻害要因になることが懸念されている。建設費に対する補助制度の見直しなどにより、適正な立地を誘導する方策を検討。2015年度末に中間報告をまとめる。
 有識者会議は「サービス付き高齢者向け住宅の整備等の在り方に関する検討会」として、8日に初会合を開く。国交省との共管で制度を運用する厚生労働省もオブザーバーとして参加する。
 サ高住は高齢者住まい法の改正で11年10月に創設された制度。高齢者に医療・介護・予防・住まい・生活支援を一体的に提供する「地域包括ケアシステム」の実現に向け、各居住部分の床面積が25平方b以上、安否確認・生活相談サービスの提供などの基準を満たせば、都道府県・政令市・中核市に登録できる仕組みだ。
 国交省がまとめた登録状況によると、8月末時点のサ高住の登録戸数は15万6650戸(4871棟)と制度創設から3年弱で急速に供給戸数が伸びている。その一方で、地価の安い郊外への立地が進み、サ高住の供給戸数が多い市区町村の介護給付費の負担が増加することが危ぶまれている。
 また、こうした現状は、都市再生特措法の改正などにより、都市の中心部に生活機能を集約し、高齢者が暮らしやすい都市のコンパクト化を進めようとしている、国交省の施策を阻害する要因にもなりうる。
 有識者会議では、国交省が年末までにまとめるサ高住の地域分布などの実態調査の結果を踏まえ、適正立地を誘導するための方策を検討する。サ高住の建設費と改修費を1戸当たり100万円まで補助する「スマートウェルネス住宅等推進事業」の見直しを視野に入れている。
 また、現在は全国で10市町村にとどまっている「高齢者居住安定確保計画」を市町村が策定するよう働き掛け、各市町村がサ高住の供給量などに関与できる枠組みを検討する。
 15年3月の中間報告で示す制度見直しの方向性は2016年度の予算編成や、高齢者向け住宅の供給目標などを示す「住生活基本計画」(全体計画)に反映させる。

提供:建通新聞社