国土交通省は、地域のインフラの維持管理に地方自治体による連携スキームを活用することを検討する。複数の自治体が役割分担を決め、連携して事務を処理する「連携協約」や都道府県が事務を代行する「事務の代替執行」を活用し、各自治体で深刻化する人員・技術力不足を解消するのが狙い。2015年度に先行して取り組む意欲のある自治体にこの連携スキームを試行してもらう。
「連携協約」と「事務の代替執行」は、複数の自治体が共同して事務を執行する共同処理制度の一つで、地方自治法の改正で創設が決まった。共同処理制度には「協議会」「事務の委託」「一部事務組合」があるが、下水道事業を除くと土木分野における活用実績はほとんどない。
創設される連携協約は、複数の自治体が基本方針と役割分担を決めて事務を共同で処理する仕組みで、例えばA市が病院を建設し、B町やC町も利用することなどを認める。従来の協議会などと異なり、執行機関として組織を設ける必要がなく、迅速に意思決定が図れるメリットがある。
事務の代替執行は、都道府県が事務の一部を自治体に代わって執行する制度で。従来の事務委託と異なり、市町村に事務の権限や責任を残したまま、権限の代行を都道府県に移すため、事務を代行する都道府県には、市町村の方針を順守して執行することが求められる。
国交省は、8月に開いた社会資本メンテナンス戦略小委員会に連携協約と事務の代替執行をインフラの維持管理に活用する方向性を提示。インフラの維持管理のうち、道路の点検業務などの一括発注や日常の維持管理工事などに活用することを想定している。
15年度予算の概算要求には調査費などの関連予算も計上。社会資本メンテナンス戦略小委員会での議論の成果も踏まえ、15年度に連携スキームの活用を実際に試行してもらう。15年度は、自治体間での連携に加え、国・都道府県による技術支援の在り方も検討する。
提供:建通新聞社