国土交通省は、2015年度に専門工事業者の「繁閑調整手法」の確立に向けた調査検討を始める。可能であれば、同省は専門工事業が必要とする「標準的な労働者数」を算出できる計算式も編み出し、専門工事業の経営者(事業主)が、自社の経営にとって適正な労働者数を客観的に把握できるよう、専門工事業が確保すべき労働力を「見える化」したい考えだ。
専門工事業の「繁閑期」は業種・業態によって異なるだけでなく、それぞれの地域の経済活動の状況などによっても異なる。このため、同省は標準的な専門工事業とその元請け企業に協力を要請し、年間を通じた受注状況や、労働者の雇用、現場への配置状況などについて調査する。年間、あるいは季節ごとに必要となる標準的な労働者数を算出できる計算式を編み出した上で、再度、専門工事業者に協力を求め「どの専門工事職種を多能工化できるのか」「どうすれば職種間の労働移動が可能になるのか」などの視点から、流動性のある(柔軟な)労働移動の可能性について具体的なシミュレーションも行いたい考え。
同省としては、こうした調査・検討を通して専門工事業の多能工化の可能性を探りながら、厚生労働省が建設労働者雇用改善促進法に基づき事業化している「建設業務労働者就業機会確保事業」との組み合わせも視野に入れ、専門工事業の繁閑の平準化モデルの構築について検討していきたいとしている。
国交省は15年度概算要求でも、財務省に対し、建設技能労働者の処遇改善や、若年入職者の増加などによる建設産業の担い手確保事業の充実への理解を求めている。「繁閑調整手法」の調査検討に充てる費用については「建設技能人材確保・育成事業」の拡充によって確保したいと考えている。
提供:建通新聞社