国土交通省の社会資本整備審議会・交通政策審議会の建設リサイクル推進施策検討小委員会は29日、建設リサイクル推進に関する報告書案をまとめた。国が建設発生土の相互有効利用のマッチング強化に向けたシステムを構築し、民間事業者を含めた発生土の工事間有効利用を促進するよう提言。建設副産物情報交換システム(COBRIS)の改善により、建設副産物物流のモニタリング強化も求めた。
報告書案では、建設廃棄物全体の再資源化・縮減率が96%まで向上していることを評価する一方、排出量自体が増加傾向にあることに加え、社会資本の維持管理・更新、東京五輪に向けたインフラ関連工事の増加など、将来への懸念は依然としてあると指摘。
品目別のリサイクル目標の設定については、建設汚泥について、85〜90%の高い再資源化・縮減率を設定する一方、建設混合廃棄物と建設廃棄物で目標の指標を変更。建設混合廃棄物は建設混合廃棄物排出率3・5〜4%以下、建設発生土は建設発生土有効利用率70%を目指すとした。
目標達成に向けた新たな方策としては、建設発生土の有効利用を図るため、官民一体で建設発生土の相互利用のマッチングを強化するシステムを構築するよう提案した。
建設業界に民間開発事業も含めて搬出先が決まっていない発生土の▽発生場所▽土量▽搬出予定時期―などの登録を依頼。工事の施工者と発生土利用希望者がシステム上で相互に情報閲覧
し、個別調整する仕組みを想定している。当初は一部地域での試行運用を目指す。
報告書ではこのほか、これまで実態調査で把握してきた建設副産物の再資源化・縮減の状況変化について、モニタリングを強化することを求めた。具体的には、建設混合廃棄物、建設発生木材、建設汚泥について、搬出状況をモニタリングし、再資源化施設への搬出が不十分な業者に搬出の徹底を要請。
COBRISにリサイクルの阻害要因や再生資材利用状況などに関する新たな項目を追加し、建設副産物物流の情報をシステム上でデータ登録・収集できるようにする。建設業団体などにCOBRISの利用率が低い民間工事や地方自治体の発注工事でのシステムを利用するよう働き掛ける。
提供:建通新聞社