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2014/07/15

「改正法精神を全国に」 北村建設業課長 

 改正公共工事品質確保促進法(改正品確法)、改正建設業法、改正入札契約適正化法の「担い手3法」の成立は、建設業再生に向けた節目となった。3法に共通する精神は疲弊した建設業が抱える最大の課題の一つである「中長期的な担い手の確保・育成」だ。改正法成立直後の6月に就任した国土交通省土地・建設産業局の北村知久建設業課長は建設専門紙との就任インタビューに応じ「国、地方自治体、建設業界が意思疎通を図る」ことをキーポイントに、改正法を運用する方向性を示した。
 ――建設産業が置かれている現状をどうみますか。
 「この2年間で建設産業を取り巻く社会情勢は大きく変化した。公共投資が底になり、建設業自体に仕事がない2年前の状況から、景気回復による建設投資の増加で、仕事があっても人手が足りないという大きな変化が生まれることになった」
 「ただ、そのことで、社会保険未加入問題など、建設業が以前から抱えている課題が大きく改善したわけではない。建設産業全体が上向きになっている今だからこそ、将来を見通すための施策を講じる必要がある」
 ――そのためにも、改正品確法をはじめとする「担い手3法」に実行力を持たせることが重要になる。
 「立法府の手で改正品確法は制定されたが、ここからは、われわれ行政が改正法の精神を公共調達の現場に根付かせる段階に入る。改正法の説明会や発注者協議会などの場を通じ、国、地方自治体、建設業界が意思疎通を図らなくてはならない。関係者の意見を十分に反映し、改正品確法の運用指針などを策定し、法の精神を全国に広げることが当面の仕事になる」
 ――就任後間もなく、建設産業活性化会議の中間報告がまとまった。中間報告に盛り込まれた施策をどう動かすのか。
 「当面は『工程表』をつくって官民の役割分担を明確にし、それぞれの立場で目標を示す作業を進めることになるだろう。施策が多岐にわたっているので、全てを同時に進めるということにはならないが、建設業界に業界が抱える課題の解決策を議論してもらうこと自体が、重要なプロセスになるのではないか」
 ――中間報告に盛り込まれた『重層下請構造の改善』に対する考えは。
 「個別工事にはさまざまな事情があるし、この専門工事業者に任せればいい成果物ができるということは当然ある。ただ、無駄な重層化は、これから働き手が不足するという社会情勢を考えても、合理的ではないという問題意識は持っている。他産業と競争するためにも、合理化は必要。一律に次数を制限することは難しいが、次数に目標を設けるような方向でこれから議論していきたい」

【略歴】北村知久(きたむら・ともひさ) 東京大学法学部卒。1987年旧建設省入省。住宅局住宅政策課住宅経済対策官、日本高速道路保有・債務返済機構総務部総務課長、土地・水資源局土地政策課土地市場企画室長、内閣法制局参事官などを歴任し、6月から現職。山梨県出身。50歳。

提供:建通新聞社