国土交通省の社会資本メンテナンス戦略小委員会は14日、点検・診断に関する資格制度構築に対する提言の大筋を固めた。資格制度は8分野・11施設で構築することにし、点検・診断の業務内容ごとに必要な知識と技術水準を満たした既存の民間資格を登録する。資格取得者に対する更新規定を設けることも求める。提言ではさらに、点検・診断に関する技術と新設設計に関する技術が密接に関係するとして、新設の調査・設計分野でも資格制度を構築することを新たに訴えている。
資格制度は▽道路(橋梁、トンネル)▽河川(堤防・河道)▽砂防(砂防設備、地すべり防止施設、急傾斜地崩壊防止施設)▽海岸(海岸堤防)▽下水道(管路施設)▽港湾(港湾施設)▽空港(空港施設)▽公園(公園施設)―の8分野11施設で構築する。
このうち、橋梁、トンネル、公園施設の3施設は、点検と診断のそれぞれに区分を設けて別途登録を求める。そのほかの8施設は点検・診断を同じ登録区分とし、一つの資格を取得すれば点検・診断双方の有資格者と認める。港湾施設と空港施設には、補修設計の登録区分も設け、点検・診断とは別に民間資格を登録する。
登録する民間資格には、施設数が圧倒的に多い地方自治体の所管施設の点検・診断を念頭に技術水準を設けてもらう。資格試験では▽法令▽技術基準▽工学的基礎知識▽経験▽点検に関する知識▽診断に関する知識▽補修設計に関する知識―の7点を確認するよう求める。
資格の登録期間はおおむね5年程度とし、最新の法令・基準や最新の点検技術の試験への反映状況などを定期的にチェックする。資格取得者に対しても更新規定を設けることを求め、資格更新時に講習の実施やCPDの取り組みなどを確認させる。
一方、提言は、維持管理以外の資格制度の在り方にも触れている。現在、建設コンサルタントの高齢化で経験豊富な技術者・技能者が急激に減少している上に、インフラの新設案件が減少したために、実務の中での技術力向上が困難になっていることを問題視。今後、建設コンサルタント業務の安定的な担い手を確保するためにも、新設の調査・設計分野における資格制度の必要性を訴えた。
国交省は、8月中に今回の提言を最終決定した上で、9月以降、資格の登録規定や点検・診断に求められる知識・技術を告示する予定。14年度中に民間資格を公募して評価し、登録を終える。15年度から、直轄事業を手始めに登録した資格を入札参加要件に活用する。
提供:建通新聞社