国土交通省は、5月まで公募していた「次世代社会インフラ用ロボット技術・ロボットシステム」のうち、トンネル維持管理分野で現場検証を行う技術・システム10件を選んだ。7月中旬から開発者向けの現場説明会を開き、10月から現場検証を開始する。現場検証で実用性が確認されたものについては、16年度にも同省の直轄事業で試行導入する。
公募は▽橋梁維持管理▽トンネル維持管理▽水中維持管理▽災害調査▽災害応急復旧―の5分野で行っており、今回は有識者らの審査を通過したトンネル維持管理分野の技術・システム10件を選考した。残る4分野についても、近く対象技術・システムを選考し、発表する。
今回選考した技術・システムには、トンネルのコンクリート面を吸着歩行して近接目視するロボット(応募者・コンステック)や、吸着式クローラを応用した走行ユニットにマイク・カメラなどを搭載してトンネル壁面を点検するシステム(同・東急建設)、車両に搭載した専用の指示装置で走行しながらトンネル覆工を連続計測する調査車(同・三井造船)などがある。
国交省は、現場説明会を開いて応募者と検証方法などを協議した上で、10月〜12月の3カ月間で現場実証を行う。従来の手法による点検結果と比較することで、実用性や精度を検証する。
改良の余地があるものについては、応募者に開発・改良を促し、15年度も引き続き現場実証を行う。その後、実用性などが確認された技術・システムについては、16年度の試行導入、17年度の本格導入を目指している。
トンネル維持管理分野の現場検証対象技術は次の通り(@応募者A共同開発者)。
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インフラ維持管理用ロボット技術開発―@コンステックA中研コンサルタント
▽近接目視・打音検査等を用いた飛行ロボットによる点検システム―@新日本非破壊検査A名古屋大学、九州工業大学、福岡県工業技術センター
▽打音によるコンクリート変状の自動識別システム―@東急建設A東京大学山下研究室
▽トンネル覆工コンクリート調査車―@三井造船Aトノックス
▽トンネル点検用飛行ロボットシステム―@日本電気A自律制御システム研究所、産業技術総合研究所、首都高速道路技術センター
▽打音診断システム―@沖電気工業A大日本コンサルタント
▽走行型高速3Dトンネル点検システムMIMM−R(ミーム・アール)―@パシフィックコンサルタンツA計測検査、iシステムリサーチ、ウォールナット
▽走行型計測技術によるトンネル点検ロボットの研究開発―@三英技研Aiシステムリサーチ
▽高精度トンネル覆工計測装置―@西日本高速道路エンジニアリング四国
▽トンネル覆工レーザー・赤外線画像計測システム―@日本工営Aトノックス、ウォールナット
提供:建通新聞社