国土交通省は、外国人建設就労者の受け入れ拡大を図るための枠組みを告示案としてまとめた。「技能実習2号」の在留資格でおおむね2年間で日本国内に滞在した外国人に「特定活動」として最長3年の在留を認め、対象職種は技能実習の建設関係21職種に「鉄工」「塗装」「溶接」の3職種を加えた24職種とする。技能実習で定める企業ごとの受入人数を大幅に緩和する一方、受入企業には外国人就労者の従事業務・従事期間・報酬予定額などを示した「適正監理計画」の提出、元請け企業による指導などによる監視強化も図る。告示の全面施行は2015年4月1日で、21年3月31日までの時限措置とする。
東日本大震災からの復興と20年東京五輪の開催による一時的な建設需要の増加に対応するため、国内人材の確保を図ると同時に、技能実習を修了し、即戦力となる外国人建設就労者を受け入れる。
告示案では、技能実習1号から技能実習2号への移行後、おおむね2年間技能実習に従事した外国人就労者を対象とする。技能実習の継続で最長2年間、いったん帰国した場合も最長2年間、帰国後1年以上が経過している場合は最長3年間の在留資格を与える。
国交省は、過去5年以内に建設分野の技能実習を2年間以上行った実績などがある監理団体を「特定監理団体」として認定し、国外の送出し機関から要件を満たす外国人建設就労者を受け入れてもらう。
受入建設企業には、この特定監理団体と共同で「適正監理計画」を申請し、国交省から認定を受けることを義務付ける。適正監理計画には外国人建設就労者の▽受入人数▽就労場所▽業務内容▽従事機関▽報酬予定額―などを記載してもらう。
計画の認定には、建設業許可、過去4年以内に2年以上の技能実習を実施した実績、労働関係法令と社会保険関係法令の順守を求める。通常の技能実習で、常勤職員の最大20分の1としている受け入れ人数については、常勤職員と同数まで認める。一方、外国人の報酬は、同じレベルの技能を持つ日本人と同等額以上とするよう求める。
受け入れ拡大に伴い、新たな監理体制も講じる。国交省、法務省、厚生労働省、建設業団体(元請け、専門工事業)、特定監理団体などで構成する「適正監理推進協議会」を発足させ、受入状況の把握や不正行為情報の共有を図る。
国交省は告示案の意見募集を7月25日まで行っており、この結果を踏まえ8月上旬にも公布する。告示を解説するためのマニュアルや、元請けが受入企業を指導するためのガイドラインなどもまとめる。告示は、15年4月1日に全面施行し、21年3月31日以降は効力を失う。
提供:建通新聞社