日本建築士事務所協会連合会(日事連)の三栖邦博会長、日本建築士会連合会の三井所清典会長、日本建築家協会(JIA)の芦原太郎会長は23日、3会の共同提案を基にした議員立法による建築士法改正案が20日の参院本会議で可決・成立したことを受け、記者会見を開いた。三栖会長は「われわれの念願である、設計・監理業務の適正化に向け、ようやく大きな一歩を踏み出した。改正法の施行を契機に、より質の高い設計・工事監理の実施につなげたい」と意気込んだ。
三栖会長は、今回の改正法の中身について「書面による契約の義務化や管理建築士の責務の明確化など、求めてきた内容をほぼ満たしている。個人的には100%の達成度を感じている」と評価。今後、1年以内に施行されることから「建築士に対する周知を急がなければならない。われわれ3会が中心になって、普及・啓発への取り組みを加速する」と述べ、施行時の混乱を防ぐ取り組みの必要性を強調した。
三井所会長は、3会が歩調を合わせて法改正にこぎつけた経緯に触れ「過去にはない画期的な取り組みであり、一連の協議が結実したことは『尊い経験』だった」と振り返った上で、「3会の合意が法改正の原動力となったことは、今後の建築設計界にとって大きな意義がある」と評した。一方で、国土交通大臣が定める報酬規準に準拠した契約締結の努力義務など、建築主にも一定の責務が課される側面があるため「建設業界だけでなく、社会からも改正法の中身について支持を得る必要がある」と持論を展開した。
芦原会長は、改正法の中身について「一部で『努力義務』や『延床面積300平方bを超える』などの文言が含まれているが、3会や行政などとの協議による結果だと受け止めている。大切なのは、われわれ建築士が法の主旨を理解し、国民が安心して仕事を依頼できる環境を整えること」との見解を示し、今後も「3会が連携しながら、改正法の実行性を高める取り組み続けるべき」と訴えた。
改正法では、▽書面による業務契約の締結義務化(延床面積300平方b超)▽一括再委託の禁止(延床面積300平方b超)▽適正な代価での契約締結の努力義務化▽管理建築士の責務の明確化▽保険契約の締結などの努力義務化▽―などを規定している。
提供:建通新聞社