国土交通省は16日に開いた建設産業活性化会議に、中長期的な担い手不足を解消するための具体策をまとめた中間報告案を示した。中間報告案では、他産業よりも立ち遅れた処遇の改善が若年者の入職促進につながるとして、賃金水準の確保や社会保険未加入対策と並んで「週休2日制の実現」を図る目標を提示し「4週8休」の休暇取得を考慮した適正な工期の設定などを進めると記載。一方、労働力人口の減少に建設生産システムの省力化・効率化・高度化で対応する必要性も指摘。この中で、行き過ぎた重層化の改善に向け、下請次数の実態調査を行い、工種などで次数目標を設ける方向性を示した。
中間報告案は、建設産業の担い手確保・育成に向けて▽技能者の処遇改善▽若手の早期活躍の推進▽将来を見通すことのできる環境整備▽教育訓練の充実▽女性のさらなる活躍の推進▽建設生産システムの省力化・効率化・高度化―の六つの柱を打ち出し、具体策を推進するとした。
技能者の処遇改善に向けては、実勢を的確に反映した公共工事設計労務単価を設定するため、とび工、鉄筋工、型枠工の3職種でモニタリング調査を実施するほか、登録基幹技能者など中核となる技能者の熟練度を賃金に反映する仕組みを検討するとした。
週休2日制の実現に向けては、発注者・元請け・下請けが一体で取り組む方針を提示し「4週8休」の休暇取得に配慮した工期の設定と請負代金での発注・契約に取り組む。現場の工程管理を徹底して土日閉所を進め、やむを得ない事情で工期を延長する場合には、適切な設計変更とコスト負担を図る。債務負担行為を有効に活用して発注時期を平準化し、余裕ある工期を設定することで、受注者が土日閉所できる環境を整える。
優秀な若手技術者・技能者が早期に活躍できる環境も整備する。有識者委員会を早期に立ち上げ、技術検定の受験資格の付与の前倒しや効率的な技術者の配置方法を検討。経営事項審査を見直し、若手技術者・技能者の雇用などに加点措置を講じる。
重層下請構造については、一定の合理性を認めつつも「行き過ぎた重層化」で間接経費が増加し、生産性の低下や労務費へのしわ寄せが発生していると指摘。下請次数の実態調査を行って「標準次数」を設定した上で、工種ごとに次数目標を設定する方針を示した。また、いわゆる「中抜き」を行う「施工上必要性の乏しい業者」の介在を抑制する必要性も示した。
建設産業活性化会議は次回26日に開く会合で中間報告を最終決定する。その後、建設業界、教育訓練施設、教育機関、関係行政機関が一体となった「次世代の担い手確保・育成のための推進会議(仮称)」を立ち上げ、中間報告に盛り込んだ具体策の実現を図る。
提供:建通新聞社