総務省は22日、都道府県と指定都市の財政・市町村担当者らを同省に集め、全ての自治体が、それぞれが所有する全ての公共施設などを対象とした「公共施設等総合管理計画」の策定を、遅くとも2016年度末までに終えるよう求めた。自治財政局財務調査課の原邦彰課長は「計画を作ることが目的ではない。公共施設の実態を正確に把握し、首長・議会・住民と情報を共有して問題意識を持ってもらうことが目的だ」と述べ、総合管理計画の策定がPDCAサイクルを活用したファシリティマネジメントのスタートだと強調した。
同省は、14年1月に新藤義孝総務相の名前で「公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進について」と題する事務連絡を地方自治体へ発出。計画の策定に当たっては、個別に構造・延床面積・建築年数などを把握するとともに、財政状況や人口動態などを客観的に分析した上で、▽施設の点検・診断の実施方針▽耐震化・補修・大規模改修・更新など適正な管理のため基本的な考え方▽人員の確保など体制の構築▽財政負担の軽減・平準化に向けた数値目標―などを具体的に示すよう求めていた。
この日の説明で同省は、総合管理計画を策定するポイントとして▽10年以上の長期計画とする▽ハコモノに限らず、自治体が所有する全ての公共施設を対象とする▽更新・統廃合・長寿命化など、公共施設などの管理に関する基本的な考え方を記載する―の三つを挙げた。
その上で、公共施設の老朽化や利用状況をはじめとした現況を把握し、総人口や年代別人口などの将来にわたる見通しに基づいて、客観的に公共施設を取り巻く状況を分析することの重要性を強調。組織内外の取り組み体制や、首長・議会・住民との情報共有・管理方策についても具体化するよう促した。
また、総合管理計画の策定を支援するための財政措置についても説明し、計画策定に要する経費を14年度から3年間にわたって特別交付税の対象(措置率2分の1)とすることや、この計画に基づく公共施設の除却についても地方債の特例とすることなどを伝えた。
政府は13年11月29日、メンテナンスサイクルの構築などによる戦略的な維持管理・更新を推進するため、「インフラ長寿命化基本計画」を閣議決定し、国の機関と同様、地方公共団体にもインフラ長寿命化計画(行動計画)を策定させた上で、個別施設計画についても策定させ、それぞれの計画に基づいた適切な維持管理を行わせるとした方針を決定していた。
提供:建通新聞社