国土交通省が行った社会資本の点検・診断に関する地方自治体向けのアンケート調査で、点検・診断業務を外部委託する際、配置技術者に資格要件を設定していない市区町村がおよそ6割に上ることが明らかになった。資格要件を設定する場合には、技術士と建設コンサルタンツ協会のRCCM(シビルコンサルティングマネージャ)を活用する市区町村が多い。国交省は、既存の点検・診断に関係する民間資格の認定により資格制度を確立し、2015年度から認定資格を業務発注の資格要件として活用する。
アンケート調査は、全国の都道府県、政令市、市区町村を対象に13年11月〜14年1月に実施した(有効回答率55・4%)。
インフラの分野別に点検・診断業務を外注している割合をみると、橋梁では点検・検査業務が85・3%、診断業務が70・9%と最も高く、ダム(点検・検査86・4%、診断56・8%)、舗装(点検・検査61・1%、診断31・1%)などが続いた。トンネルでは、点検・検査が28・6%、診断が16%と外注する割合が低い結果が出ている。
点検・診断業務を外注する際の体制を尋ねる設問では、配置技術者に資格要件を設定していない市区町村(政令市除く)では点検・検査が59・4%、診断が67・7%、都道府県・政令市では点検・検査が8・2%、診断が27・1%となっており、取り組みに差が出ている。
一方、資格要件を設定している自治体に資格要件の内容を問うと、都道府県・政令市、市区町村のいずれも技術士とRCCMを活用しているところが多いことが分かった。市区町村では、点検・検査が技術士73・3%、RCCM60・8%、診断が技術士81%、RCCM63・3%に上っている(複数回答可)。このほか、プレストレストコンクリート工学会のコンクリート診断士を活用したり、技術者に一定年数以上の実務経験を求める市区町村もあった。
国交省は、自治体のこうした現状も踏まえ、14年度中に点検・診断の資格制度を確立させる。社会資本メンテナンス戦略小委員会に「資格制度ワーキンググループ」を発足させ、資格要件として活用する既存の民間資格の認定基準を夏までに検討する。
提供:建通新聞社