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2014/04/15

道路ストックは「危険水域」 老朽化対策の本格実施で「最後の警告」 社整審道路分科会

 国土交通省の社会資本整備審議会道路分科会は14日、道路の老朽化対策の本格実施に関する提言をまとめ、太田昭宏国交相に建議した。道路の関係者に対する「最後の警告」と題した提言は、ストックの老朽化、維持修繕費の削減、道路管理者の技術職員の減少で、維持管理のレベルが「危険水域」に達していると警鐘を鳴らし、道路管理者が本格的なメンテナンスにかじを切るよう要求。全ての道路管理者に「メンテナンスサイクル」を確立させることを求め、国に対しては、維持管理に関する安定的な予算確保とともに、地方自治体の体制支援を講じる必要性を訴えている。
 道路分科会は、道路ストックの老朽化をめぐる問題について、直轄道路の維持修繕費が10年で約2割減少したり、橋梁保全に携わる土木技術者がいない町が46%、村が70%に上るなど深刻化していると指摘。老朽化で通行規制を敷いた橋梁が5年で2倍に増えるなどとした問題が表面化している事例もあるとした。
 このため、すべての道路管理者に、点検、診断、措置(修繕、更新、撤去、集約など)、記録、で構成する「メンテナンスサイクル」を確定させることを要請。全国の橋梁(延長2b以上)70万橋、トンネル1万カ所の近接目視による点検と、統一的な尺度による診断の実施を義務付けるべきとした。点検・診断結果に基づく措置(修繕など)の結果を公表する「見える化」も求める。
 メンテナンスサイクルを確立させるため、国交省には、予算・体制・技術面で自治体に対する支援措置を講じることも求めた。点検を適正に実施する自治体に対し、重要度や健全度に応じた交付金の重点配分や、複数年にわたる大規模修繕・更新を支援する補助制度の創設を促している。
 また、都道府県単位で設置する「道路メンテナンス会議」を設置した上で▽メンテナンス業務の地域一括発注▽国職員でつくる「道路メンテナンス技術集団」による「直轄診断」▽国・高速道路会社による点検・修繕の代行―など、支援措置の充実も図る。点検業務と修繕工事の適正な積算基準、点検・診断を行う技術者を確保するための資格制度の創設も急がせる。
 道路分科会の分科会長を務める家田仁東京大学政策研究大学院教授は「日本の道路は戦後、一歩でも遠くまで伸ばすという思想で造られてきたため、本来はセットで考えるべきメンテナンスが後回しになってしまった」と振り返った上で「メンテナンスはお金さえあればできるわけではない。組織・体制、個々の技術者の技術力も含め、なるべく早く提言の精神を関係者に浸透させることが必要だ」と話している。

提供:建通新聞社