学校施設での非構造部材の耐震対策の推進について検討している文部科学省の有識者会議が24日に開かれ、調査研究報告書案などについて審議が行われた。報告書案では、今後の推進方策として、文部科学省で非構造部材の耐震化ガイドブックの改定、耐震対策事例集の見直しを行い、詳細な点検・対策手法などを示すべきと指摘。また、2013年度末をめどにまとめる天井落下防止対策の事例集に引き続き、文部科学省で先導的な知見や事例を収集し、普及するよう求めている。
さらに技術的な情報提供の面からは、自治体向けなどに設置している文部科学省の「相談窓口」を周知するとともに、民間の建築士らで構成する「天井等落下防止対策アドバイザー」の積極的な活用を推進する必要があるとした。
このほか、新たに学校施設を計画・設計(増築を含む)の場合にも、非構造部材の耐震性能は検討すべきものであり、「学校施設整備指針」での非構造部材の耐震対策の規定内容を充実する必要性を訴えている。
報告書は3月17日に開催予定の同会議で最終案をまとめる予定。
文部科学省は、東日本大震災で多くの学校の体育館などの天井が崩落し児童・生徒が負傷した例があったことから、学校施設の「天井等落下防止対策」の早急な完了を要請。特に、公立学校施設については2015年度までの完了を目指し、昨年には国土交通省と連携して「学校施設における天井等落下防止対策のための手引」も作成した。全国で延べ5回開催した同手引きの講習会は、約1000人以上の建築士が受講し、約400人が「天井等落下防止対策アドバイザー」として登録された。天井等落下防止対策アドバイザーに登録された建築士については、文部科学省へ要請があった学校設置者に対し情報を提供する。
提供:建通新聞社