厚生労働省が2013年度補正予算に盛り込んだ「地域人づくり事業」を活用し、建設業の雇用拡大や処遇改善を支援する動きが各都道府県に広がっている。三重県は2014年度当初予算に関連経費を計上し、100人規模で建設業の新規入職を支援する方針を示すなど、大半の都道府県で予算計上に向けた具体的な検討が始まっている。厚労省や都道府県、国土交通省の呼び掛けを受け、支援に応じる意向を示す建設業団体も増えている。
地域人づくり事業は、若者、女性、高齢者らの雇用拡大や処遇改善につながる地域の取り組みを支援するため、厚労省が13年度補正予算案に総額1020億円を計上した。都道府県が造成している基金に予算を積み増し、地域の雇用拡大や賃上げ促進に向けた取り組みを支援する。
事業は、地域の建設業の雇用確保や処遇改善にも活用できる。具体的には、建設業団体と会員企業などの共同体が若年者を期間雇用して集合訓練や企業実習を実施し、正規雇用に結び付ける「コンソーシアム型」や、建設業事業主が若年者を雇用して資格取得のための講習・訓練を行い、正規雇用に結び付ける「企業単独型」などがある。
三重県は、14年度当初予算案にいち早くこの事業費を計上。若年者の入職促進や人材育成を支援する「建設業若年労働者雇用拡大推進事業」に2億1000万円、在職者の早期離職防止と定着率向上を目的に中小企業診断士などの相談会を開く「建設業雇用管理等相談援助事業」に50万円、在職者の技術取得講習などを支援する「建設労働者定着支援推進事業」に3000万円をそれぞれ計上した。
三重県以外にも、建設業界の意向も踏まえて14年度当初予算案などに必要経費を計上し、事業を実施する方向で検討段階にある都道府県が大半を占める。事業の担い手となる建設業団体でも、国交省が全国建設業協会など建設業4団体に活用を要請したことを受け、教育訓練施設と共同で事業の実施を検討するなど、都道府県の予算化を待って事業の実施を準備している団体が多くある。
提供:建通新聞社