全国中小建設業協会(全中建、松井守夫会長)は19日、国土交通省の毛利信二土地・建設産業局長らを訪ね、「長期的な予算の確保」「発注の平準化」「歩切りの撤廃」「歩掛りの小規模工事向けの見直し」などを強く求め対応を要請した。また、技能労働者の適切な賃金水準の確保については、1月30日付けで発出された国交省からの要請を会員に周知するとともに、「生の声」を聞く意見交換会を実施していくことを報告。さらに3月18日の理事会では@適切な労務賃金の確保・支払A社会保険などへの加入の促進B適切な価格での契約締結C若年入職者の積極的な確保―を決議すると伝えた。
技能労働者の適切な賃金の確保と社会保険などへの加入促進については、昨年10月から9地区で意見交換会を行い、適切な賃金支払いや社会保険加入促進に取り組むよう要請したことを報告。歩切りの現状などについてのアンケート結果を説明した。
会員からは、人材確保や機械購入などの設備投資をするためには公共事業予算の長期的な確保が必要だとする声や、雇用の維持や経営の安定のためにも発注の平準化を求める意見が出ていることを紹介した。
入札・契約制度関係では、「予定価格で受注しても赤字になる」「落札率が低く、労務単価がアップしても受注価格に大きなな影響はない」などの実態があることを紹介。「適正な価格で契約ができなければ適正な賃金の支払いはできず、若い担い手も確保できない」といった意見など、制度の根本的な問題を指摘する意見が多いことを強調した。
また、また実施したアンケート結果からは、市町村で5〜20%の歩切りが行われていることが明らかになり、賃金引上げ、社会保険加入の阻害要因になっていると指摘した。
このほか昨年10月から採用された施工パッケージ積算方式に対しては、「地方(中小業者)に不利な方式」「大規模工事で採用されている歩掛りを小規模工事にも適用しているので採算が取れない」などの声があるとして、制度の見直しを検討するよう要請した。
全中建では今後も7月から12月にかけて、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州の各地で意見交換を実施していく予定だ。
提供:建通新聞社