市町村が所有・管理する公共施設の耐震化が遅れている―。総務省が実施した防災拠点となる公共施設などの耐震化推進状況調査の結果、公共施設の耐震化に向けた取り組みは全体的に進んでいるものの、都道府県と比べて、市町村施設の耐震診断実施率、同措置率、耐震率はいずれも低いことが分かった。災害発生時に救命・救助や、応急復旧の中核となることが期待されている庁舎、警察署、消防署などの耐震化も十分とはいえず、同省は「早急かつ計画的な耐震化」の取り組みを一層推進するよう促している。
地方公共団体が2012年度末時点で所有・管理し、防災拠点となることが期待されている公共施設は18万8312棟で、うち15万5455棟の耐震性は確保されており、耐震率は前年度より3・3ポイント高い82・6%となった。
都道府県が所有・管理している公共施設は10万2442棟で、うち5万1304棟(50・1%)は旧耐震基準で建築されたものだったが、8万5861棟の耐震性が確認できた。耐震率は83・8%だった。
一方、市町村が所有・管理している公共施設は16万5132棟あった。このうち8万4174棟(51%)が旧耐震基準で建築されたものだったが、13万5665棟の耐震性を確認した。耐震率は82・2%だった。
耐震率が最も高かった公共施設は文教施設(校舎・体育館)の87・6%。次いで、消防本部・消防署82%、診療施設79・3%、社会福祉施設78・2%、警察本部・警察署77・7%―の順となっている。庁舎は前年度より1・9ポイント上昇したが、それでも68・9%にとどまった。
防災拠点となる公共施設の耐震率を都道府県別に見てみると、東京都95・8%、愛知県93・7%、静岡県93・6%などが高かった反面、広島県64・6%、愛媛県70・7%、北海道72・1%、高知県74・%などの低さが目立つ。
調査は、地方公共団体が所有・管理している非木造の2階建て以上、または延床面積200平方b超の公共施設(建築物)を対象として行った。
総務省消防庁は、これまでも「公共施設等耐震化事業」を実施し、地震発生時に倒壊の危険性が高いとされているIs値0・3未満の庁舎や避難所については、09年から交付税の算入率を3分の2に引き上げるなど、地方公共団体の防災施設の耐震化を支援している。
提供:建通新聞社