政府は12日、国土強靭きょうじん)化の枠組みを議論している「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」を開き、国土強靭化施策に民間資金を呼び込むための支援策を創設する方針を示した。支援手法や重点的に支援する分野などを固め、5月下旬に閣議決定する国土強靭化基本計画に盛り込む。2015年度の概算要求や税制改正要望などで支援策の創設や充実を図る。
国土強靭化への民間投資について、国土強靭化基本法でも民間活力の積極的な活用を図ることを規定しているほか、日本経済団体連合会も民間活力を引き出すための環境整備の必要性を提言している。
12日の会合では、対象とする民間投資の範囲をPFIに限定せず、官民がパートナーシップを結んで最適な公共サービスの提供を実現するPPPとすることを確認。投資の呼び水となる業務継続計画の策定などのソフト事業も対象とする。
具体的な支援事例としては▽大規模建築物の耐震診断・耐震改修への支援▽密集市街地における総合的な対策▽老朽化マンションの建替え促進▽医療施設の耐震化▽コンビナート港湾における民有護岸の耐震化▽首都高速の大規模更新▽鉄道施設の耐震対策▽橋梁モニタリングシステムの導入―などを挙げている。l
また、懇談会にワーキンググループを設け、5月上旬の国土強靭化基本計画策定を受けて都道府県・市町村が策定する「国土強靭化地域計画」のガイドラインの検討にも着手する。各自治体が円滑に地域計画を策定できるよう、地域計画策定の前提となる脆弱(ぜいじゃく)性評価の手法などをガイドラインに盛り込む。
地域計画の策定を先導する自治体を公募で選び、策定を支援するモデル調査も実施する。4月にも1次公募、8月に2次公募を行って対象の自治体を選考する。
提供:建通新聞社