国土交通省は7日、社会資本整備審議会道路分科会の基本政策部会・国土幹線道路部会合同部会を開き、地方自治体に対して、統一基準による橋梁・トンネルの点検・診断を義務付ける方針を示した。全橋梁70万橋のうち、市町村は約52万橋を管理しているが、直近5年で劣化による通行規制が2倍以上に増えるなど、老朽化が顕在化している。点検・診断の義務付けで、点検・診断結果に基づく計画的な修繕の実施とともに、点検・診断・修繕結果の保存なども求める。
国内の橋長2b以上の橋梁は約70万橋で、国交省・高速道路会社・都道府県などが管理する橋梁を除くと、全体の75%に当たる約52万橋を市町村が管理している。
国交省は、2004年度から5年に1度の定期点検(近接目視)をすべての橋梁で実施し、点検結果を基に修繕が必要な橋梁を洗い出している。
一方、市町村では、橋梁保全業務を行う土木技術者の確保もままならないといった状況だ。町の約46%、村の約70%では橋梁保全に携わる技術者が1人もおらず、市町村の76%は点検を遠望目視で済ませているという。公共事業費削減のあおりを受け、直轄道路の維持修繕費ですら、この10年で約2割削減されているという予算的な背景もある。
国交省は7日の合同会議で、地方自治体の道路インフラ管理が「メンテナンスに関する最低限のルール・基準が確立していない」「メンテナンスサイクルを回す予算・技術がない」といった根本的課題を抱えていると指摘。道路法に基づく基準を策定し、この基準に沿って自治体が管理する全橋梁・トンネルの点検・診断の実施を義務付ける方針を示した。
点検診断結果に基づく計画的な修繕を機能させるため、補助制度の創設や発注支援などの支援措置も講じる考え。技術者のいない自治体に対しては、人材育成、資格制度の確立などの技術的な支援策も検討し、合同部会が3月中に示す提言を踏まえて14年度以降に実施に移す。
提供:建通新聞社