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2014/02/04

単品スライドの簡素化試行 ※国交省

 国土交通省は1日、仙台市内で復興加速化会議を開き、被災3県を対象にしたさらなる施工確保対策を明らかにした。今月から全土木工事を対象に間接工事費を割増補正する「復興係数」を導入するほか、単品スライド状況の手続き簡素化を試行する。技能労働者の確保対策としてコンクリート構造物のプレキャスト化も拡大する。太田昭宏大臣はこうした対策を導入するよう各発注機関に要請したほか、入札不調や人材・資材の状況を毎月本省に報告するよう指示した。
 復興係数は入札不調・不落対策の一環。岩手、宮城、福島の被災3県で施工するすべての土木工事を対象に共通仮設費を1・5倍、現場管理費を1・2倍に割増して積算する。これにより予定価格は6〜8%上昇する見込み。国交省は近く整備局や自治体に通知する。
 直接工事費については日当たり作業量を10%低減させた「復興歩掛」を昨年10月に導入しているが、被災地を対象とした諸経費調査で現場管理費や共通仮設費といった間接工事費についても積算額と現場における支出実態の乖離(かいり)が判明し、対策が求められていた。
 単品スライドの金額算出に当たっては通常、搬入月ごとの数量と材料単価を把握するため、施工者が納品書や領収書などの証明書類を発注者に提出しなければならなかった。今月からは発注者が有する出来高増加月の実勢単価や数量に基づき算出することで、証明書類の取りまとめ・提出を不要とし、受発注者の負担を軽減する。手続きを簡素化することで、これまで浸透していなかった自治体に導入を促す狙いもある。
 生コンクリート不足に対応した現場打ちコンクリート構造物のプレキャスト(工場製作)化はこれまで仙台湾南部の防潮堤工事や三陸沿岸道路で実施してきたがさらに拡大する。対象は三陸沿岸道と既存道路の交差部で施工する内空断面4平方b以上の大型ボックスカルバート。特殊な構造のものを除きプレキャストコンクリート製品に転換する。2014年度から約200ヵ所を予定。これにより鉄筋工や型枠工の技能労働者の必要人数を大幅に低減できる見込み。
 このほか施工確保対策として、技術者不足や発注の円滑化を図るため▽監理技術者の途中交代の柔軟な運用▽若手技術者の確保・育成▽技術提案一括審査方式の拡大―などを追加実施するほか、岩手県内のCランク規模で入札不調が多発していることから、手持ち工事に配慮した工事発注、復旧・復興道路工事について発注ロットの大型化を進める。
 会議には国交省のほか復興庁、被災3県・仙台市、UR都市再生機構、建設関連業界団体などから約20人が出席。各発注機関が復旧・復興の進捗状況や入札不調の現状などを説明した。日本建設業連合会東北支部や東北建設業協会連合会などは設計労務単価の引き上げや今回の施工確保対策について謝意を示した上で、さらに復興加速化に向け尽力する決意を示した。
 太田大臣は「入札不調や人材・資材の状況について毎月の動向を調査し、総合的に対策を検討するよう指示した。地元でも発注者協議会を活用しながら状況を把握し本省に報告してもらいたい」と毎月の調査報告を要請した。
 

提供:建通新聞社