国土交通省は、全国全職種平均で7・1%引き上げる公共工事設計労務単価を早期に適用するよう、全国の都道府県と政令市に要請した。契約済み工事に新労務単価を反映させるインフレスライド条項の適用とともに、労務単価に法定福利費相当額(本人負担分)が含まれていることを踏まえ、公共工事の受注者に社会保険加入の徹底を指導することも合わせて求めた。建設業団体に対しては、労務単価の上昇を技能労働者の賃金引上げにつなげることも求めた。
1月30日付で土地・建設産業局長名の通知を都道府県・政令市と建設業団体に送付した。都道府県に対しては管内の市町村への周知も求めた。
自治体向けの通知では、発注工事の積算に新労務単価を速やかに適用することを求めるとともに、国交省の直轄工事と同様にインフレスライド条項と旧労務単価で積算した工事に対する特例措置を適用するよう促している。
また、新労務単価に法定福利費相当額(本人負担分)が含まれていることを踏まえ、元請け企業・専門工事業者間で適切な社会保険料を盛り込んだ下請契約が結ばれるよう指導することも依頼。国交省が14年度中に直轄工事の元請け企業と一次下請け企業から社会保険未加入企業の排除を検討していることを踏まえ、同様に保険未加入企業の排除を検討することも求めた。
建設業団体に対しては、今回の労務単価引き上げが技能労働者の処遇改善を目的とすることをあらためて伝えた上で、元請け企業には適切な価格での下請け契約の締結、専門工事業には雇用する技能労働者の賃金引上げを図るよう要請。労務単価の上昇を社会保険加入と賃金引上げにつなげることで、これまで困難だった若年入職者の確保を積極的に進めることも求めた。
また、国交省は主な民間発注者団体に対しても適正な価格で工事を発注する趣旨の通知を同日付で送付し、労務単価改訂の趣旨を説明。現在の人件費と資材費の上昇が、下請け企業へのしわ寄せや技能労働者の処遇悪化を招かないよう、受注者から物価・賃金の変動を理由とする請負代金額の変更申請が柔軟に対応することを求めた。
提供:建通新聞社