建設業振興基金の内田俊一理事長は27日、若者の建設業への就職促進対策の一環として、静岡県立科学技術高校(静岡市葵区、田中克己校長)を訪問し、田中校長らとの懇談や施設見学を行った。懇談の中で内田理事長は、学校側に対して「若者の不満を直接建設業界に伝えてほしい」と要望し、学校と業界との一層のタイアップを期待した。
基金からは内田理事長、南塚忠英管理研修部長ら4人が訪問。まず、田中校長、都市工学・都市基盤工学科の坂本巧科長ら8人と懇談した。
田中校長、坂本科長が学校の沿革や教育内容、就職状況などを説明した。坂本科長は、特に建設産業への就職について「求人の数がそろわないことや、生徒が他業種と比べて建設業を選択しない」傾向があることなどを指摘した。
内田理事長は、建設産業の最大の課題として「若者をどう取り戻すか」ということであると指摘。その上で、発注者、ゼネコン、専門工事業が「担い手確保という一点で、同じ方向を向き始めた」とし、解決策として「教育訓練というテーマが正門≠ナはないかと思っている」と話した。
また、12月にまとめた「建設産業の人材確保・育成方針」を説明する中で、建設産業界が全体として、若者の「一生を引き受ける」「一人前になる道筋を示し、サポートする」ことが担い手確保につながると訴えた。
学校側に対しては、建設産業界とのミスマッチ解消のため、実務レベルでの意見交換の場を持ち、「若者の不満、若者の声を直接ぶつけてもらえたらいい」と一層のタイアップの必要性を指摘した。
懇談の後、内田理事長は都市工学・都市基盤工学科の生徒122人を前に、「『働く』を考える」と題して講演。若者の職業感や建設産業の特徴などを紹介し、「縁の下の力持ちである建設産業のことを考えてほしい」と呼び掛けた。
内田理事長は、今回の訪問で「子どもたちの可能性とともに、先生方の熱意を感じた。それが建設産業と学校とのさまざまな連携を生んでいる」と感想を述べた。
提供:建通新聞社