国土交通省と総務省は、地方自治体発注の大型建築工事で入札不調・不落が多発していることを受け、予定価格を適正に設定するための対策をまとめ、全国の地方自治体に実施を要請した。対策では予定価格に最新単価を使用することを徹底し、予定価格を事前公表する自治体には最新単価での再積算後に修正公告する必要性などを提案。刊行物で積算する材料価格や複合単価、市場単価にとらわれず、業者・メーカーから徴集した見積もりによる単価設定に考慮したり、入札不調が発生した案件で入札参加者から見積もり提出を求める対策も有効だとしている。
この対策は、大型公共建築工事の予定価格が実勢価格と乖離(かいり)したことが要因で入札不調・不落が発生していることを踏まえたもの。国交省と総務省の連名で24日付で通知するとともに、建設業、建築設計、積算関連の業界団体にも同様の通知を送り、周知を図った。
最新単価適用の徹底は、数カ月以上前の単価を使用して予定価格を設定している発注者がある現状を踏まえあらためて要請した。予定価格を事前公表している自治体にも、最新単価で再積算して予定価格を修正公告する方法や、入札公告時ではなく入札日前に予定価格を公表するなどの対策を講じるよう求めた。
積算で使用する単価については、刊行物に掲載されている単価だけでなく、専門工事業者や資材メーカーからの見積もりを参考に設定することを要請。それでも不調・不落が発生した場合は、入札参加者からも見積もりの提出を求める「見積活用方式」を採用し、再公告時の積算に反映させる必要性を指摘した。
これらの対策を講じる際、予算の上限や自治体内部の規則が制約になるケースが多いことから、制約に縛られずに柔軟に対応する必要もあらためて周知している。
国交省では、各地方整備局の営繕部など全国24カ所に公共建築相談窓口を設け、各自治体からの個別相談にも応じる。
提供:建通新聞社