全国中小建設業協会(全中建、松井守夫会長)は24日の理事会で、昨年10月から11月にかけて6地域で実施した意見交換会の内容を報告した。それによると、市町村では、相変わらず「歩切り」が横行しており、中には設計価格の20%という「歩切り」が行われているとの声があったほか、小規模工事用の歩掛の制定、地方業者に不利な施工パッケージ積算方式の見直しなどを求める声が寄せられたという。歩切りの実態については自治体の実名入りの資料を国土交通省へ提出する予定だ。
意見交換会は、国土交通大臣から要請を受けた技能労働者への適切な賃金支払いと社会保険への加入促進について、会員に周知するとともに、各地域の現状や会員の生の声を把握するために実施したもので、開催地は八戸建設業協会、みやぎ中小建設業協会、全中建京都、大阪府中小建設業協会、全中建鹿児島、宮崎県建築協会。
各地の意見交換会では「歩切り」について、一律の設計価格の0・99の数値で予定価格を設定している発注者があり、市町村では5〜10%の歩切が行われているとの声が出た。中には20%の歩切りを実施している事例もあり、これが技能労働者の賃金引上げ、社会保険加入促進の妨げになっている。単独事業での歩切りが高率になる傾向が強いとの指摘もあった。
積算関係では、町村レベルでの新しい設計労務単価の採用が進んでいないとの指摘をはじめ、建築工事は市場単価を採用しているため、労務単価の引き上げが全く反映されないといった声があった。また「現場の実態に合わない設計・積算が行われ、そのしわ寄せが施工者におよび採算を悪化させている」「大規模工事で採用されている歩掛を小規模の工事にも適用している」「昨年から採用された施工パッケージ積算方式は地方業者にとって不利な方式である」などが問題点として報告された。
理事会でも、施工パッケージ型積算方式については、積み上げ方式と比べて積算価格が75%へと大幅に低くなると指摘し▽積み上げ積算に近いものに見直すこと▽経費率の上乗せ▽低入札調査の基準の見直し―を協会として国に要望していくよう求める意見が出た。土木委員会で各地の状況を調べた上で、対応していくことを決めた。
今後も2月下旬から3月上旬にかけて関東地区で意見交換会を行い、その他の地域は2014年度に行っていく計画だ。
提供:建通新聞社