東日本・中日本・西日本の高速道路会社3社は22日、高速道路構造物の大規模更新・大規模修繕計画(概略)を発表した。対策規模は上下線別と連絡施設を含む延べ延長で約2110`、概算事業費約3兆0200億円。大規模更新は橋梁の床版の取り換えや桁の架け替えを行うこととし、大規模修繕では切土・盛土のグラウンドアンカーや水抜きボーリング、トンネルのインバート設置、橋梁の高性能床版防水や桁の補強を実施する。2014年度からおおむね15年間で対策を進める方針でおり、今後、財源確保に向けて国などと調整していく。
3会社が管理する高速道路約9000`(供用延長)のうち、およそ4割に当たる約3700`は供用から30年以上が経過。橋梁やトンネルなどの構造物も老朽化が進行している。このため、12年11月に「高速道路資産の長期保全及び更新のあり方に関する技術検討委員会」(委員長・藤野陽三東京大学大学院教授)を立ち上げ、老朽化した構造物の対策を検討してきた。
今回の計画は、当日まとまった技術検討委の提言を踏まえたもの。
具体的に見ると、大規模更新の規模は、橋梁の床版の取り換えが約230`で概算事業費約1兆6500億円、桁の架け替えが約10`で概算事業費約1000億円。代表事例として▽犬上川橋(名神高速道路・彦根IC〜八日市IC、滋賀県)▽福島須川橋(東北自動車道・福島飯坂IC〜福島西IC、福島県)▽松島高架橋(阪和自動車道・和歌山北IC〜和歌山IC、和歌山県)―を挙げ、対面通行規制などを行って鉄筋コンクリート製の床版や桁をプレキャストコンクリート製に交換する。
一方、大規模修繕の項目別事業規模は▽橋梁の高性能床版防水=約360`、約1600億円▽橋梁の桁の補強=約150`、約2600億円▽切土・盛土のグラウンドアンカーと水抜きボーリング=約1230`、約4800億円▽トンネル本体・覆工のインバート設置=約130`、約3600億円―としている。
具体的な対策箇所などは現時点で明らかにしていない。
技術検討委の提言を得た3社の社長は共同で「国などの関係機関とも協議調整を行いながら、スピード感を持って着実に事業を進めるとともに、長期的な視点に立って道路構造物の計画的な保全に努めていきたい」とコメント。中央自動車道・笹子トンネル上り線の天井板落下のような事故を二度と起こさないという決意をあたらめて表明した。
提供:建通新聞社