国土交通省、中小企業庁、公正取引委員会は17日、消費税の円滑・適正な転嫁を建設業団体に要請した。4月の消費税率引き上げに伴い、全産業15万社を対象とする合同調査で、転嫁拒否を受けたなどと回答した建設業者が229社に上ったことを受けた措置。下請け企業に対して、税率の引き上げ分を契約当初から支払わない「買いたたき」などの事例がみられたという。
消費税率の引き上げに伴う工事請負契約については、昨年10月1日以降に契約し、4月1日以降に完成する工事を対象に、税率8%を適用する経過措置が設けられている。
調査は、昨年11月に公正取引委員会と中小企業庁が合同で行ったもので、全産業15万社のうち、建設業は4万3871社が対象となった。調査対象のうち「すでに転嫁拒否を受けている」「今後転嫁拒否を受けることを懸念している」と回答した企業は750社で、この中には建設業229社が含まれている。
建設業が受けた転嫁拒否行為の内訳は、契約済みの請負金額から消費税率引き上げ分を差し引く「減額」が170件で最も多く、「買いたたき」の159件、「本体価格での交渉拒否」の101件、「利益提供要請」の85件が続いた。
調査では、転嫁拒否を行っていたり、転嫁拒否を行う恐れがある事業者268社も確認。このうち、建設業は69社いた。 国交省、中企庁、公取は今回の調査結果を受け、製造業と卸売業・小売業関係の業界団体474団体、建設業団体101団体に連名で税率引き上げ分の円滑・適正な転嫁を要請。今後は、転嫁拒否行為を行った可能性のある事業者に対しては立入検査を行う。
消費税転嫁対策特措法の違反事実が立入検査で明らかになった場合には契約変更などを指導するほか、悪質なケースについては、公取が勧告と事業者名の公表などの措置を講じる。
提供:建通新聞社